第329話 舞演祭 2日目 ④

 自分とテレーザさんはエレナの踊りを見た後、昨日の続きで屋台制覇を目指すべく楽しく食べ歩いていた。


 本当はエレナに踊りの感想などを言うために会いに行きたかったけど、エレナは舞演祭の3日目も参加するらしくて、舞演祭が終わるまでは忙しくて他の人には会えないだろうと前もってテレーザさんに伝えてあったみたいなので、舞演祭が終わるまではエレナに会うのは控えようかなと思っていた。


「それにしてもエレナはいろいろな事をやっていて凄いよね、今回の踊りの他に演劇鑑賞やフッションの他に冒険者になるためのトレーニングもしっかりやってるみたいだしね」


「そうですね、でもそれを言ったらレイくんも人のことを言えない位の多趣味じゃないですか? 本当にしっかり寝てるのか私はレイくんの体調が心配になります」


「そうかな? 一応は寝てるから大丈夫だよ」


 前世の死因が過労死という疑惑があるから説得力は一切無いけど、この世界に転生してからは何故かあまり寝なくても調子が悪くならないから、実際は1日1時間も寝れば問題は無いだろうと思っていた。


 まあ、それをやるとセシリアによる強制的な休憩をさせられるのでちゃんと寝ているけどね……


「おい、昨日にここでやってた屋台はどうしたか知らないのか?」


 しばらく屋台制覇を楽しんでいたら、小さい女の子が屋台のおじさんに凄い剣幕で質問している不思議な光景に遭遇した。


「……子供達がやっていた屋台だろ?」


「誰がやっていたかは分からないが……凄く上手い焼き肉串が売っていた屋台だ」


「多分それが子供達のやっていた屋台だな。昨日は始めてからすぐに行列になっていたけど2時間位であっさりと撤収しちまったから、全く分からないな……」


「そうか……まさか1日で屋台を辞めちまったのか……?」


 女の子とおじさんの話を聞いていると、もしかして【魔眼協会】の子供達が屋台をやっていた場所がここだったのかな?


 多分、子供達は誰とも交流を持たないように言われていたから、詳細は周りのおじさんやおばさん達に聞いても分からないだろう。


「くそっ、私はお土産だって持ってきた焼き肉串を5本しか食べてないんだぞ……全てはマリアが仕事だって言って私を拘束したせいだ……帰ってら絶対に文句を言ってやる!」


 女の子は凄い剣幕で屋台から離れていった……


「あれは何だったんだろうね……テレーザさん?」


 テレーザさんを見ると顔が少し青ざめていた……どうしたのだろうか?


「あれは【魔王】様……?」


「えっ? あの女の子が?」


「確実ではないですが、私の【天翔眼】で見たら独特な【魔力】が見えました。あれほどのものを持っているのは【魔王】様位しか考えられません……」


「そんなに?」


 自分は現在【魔眼】を不用意に使わないように【魔眼】を微弱な封印していたから、ちょっと怖い女の子って位にしか見えなかったけど、テレーザさんが言うなら本当なのかもしれないな。


 これは後でペンザエモンさんに報告しないとダメかもしれないな、しかもマリアって名前が出ていたって事は【聖人】のマリアが【スカウトフォート】に来ているかもしれないって事も念のために報告しておこうと思った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る