第328話 舞演祭 2日目 ③
舞演祭の2日目もテレーザさんと一緒に屋台が並ぶ大通りに来ていた。
「今日はセシリアさんがいないんですね?」
「うん、今日はちょっと頼み事があってね、用事が終わり次第合流する予定だよ」
「そうなんですね! セシリアさんはいつもレイくんと一緒のイメージがあったんで意外でした!」
「今日も昨日みたいな屋台制覇を目指す?」
「あ、えっと……是非見たい踊り子がいるんで、今日はそっちを優先しても良いですか?」
「ああ、そう言えば数日前に言ってたね。その踊り子が出るのはいつ頃なの?」
「あと40分くらい後ですかね」
「そっか、ならそれまでは他の踊り子達を見てようか」
「はい!ありがとうございます!」
テレーザさんの言う見たい踊り子までは、他の踊り子達を見たりしていた。
「そう言えば、その見たい踊り子って知り合いなの?」
「そうですね、昔からの友達です!」
「へ~、テレーザさんは【スカウトフォート】に来たばかりなのに昔からの友達がこっちにもいたんだね」
「最近までお互いが離れた場所で暮らしていたので、ほとんどが手紙のやり取りでした」
「そうなんだ、どんな子なんだろう?」
テレーザさんの昔からの友達って事は、やはり貴族の子供なのだろうか?
「見れば分かりますよ」
「ん?」
見れば分かる?
「あっ、レイくん! 来ました!」
テレーザさんが指をさす方を見てみると、見たことのある女の子が踊りながら歩いてきた。
「え、エレナ?」
踊り子集団の中に青白い可愛い衣装を着た猫耳の女の子は何度見ても自分のよく知っているエレナだった。
「はい、実は知り合いの踊り子はエレナだったんです」
「だから一緒に見て回る事が出来なかったんだね、それにしてもエレナは踊りが上手いね」
自分は踊りに関して素人だけど、エレナの踊りは周りの踊り子達と比べても特に凄いキレがあるように見えた。
「ですね! 私が見てもエレナの踊りは凄いと思います!」
「でもエレナが踊りを練習しているなんて初めて知ったよ、いつ頃からやってたのかな?」
「踊りの基礎は親から習っていたみたいですが、踊りの団体に参加し始めたのは【スカウトフォート】に来てからと聞いてますよ」
「そうなんだね」
エレナの踊りを見て、着たら似合いそうな服のイメージがフワッと湧いてきた……
今はまだどうなるかは分からないけど、蜘蛛を【テイム】して丈夫な糸を作れる様になったら、エレナの服を作ってみるのもありだなと思った。
「レイくん、どうしたのですか?」
「ああ、ちょっとエレナに似合いそうな服のイメージが湧いてね、なんか裁縫をやってみたくなったなと考えてたよ」
「それは私の服も作って貰うことは可能ですか?」
「ああ、エレナの服も作る準備がもし出来たらテレーザさんの服も良いよ」
「本当ですか!? でしたら何を準備すれば良いか言ってもらえればお父様に用意してもらいます!」
「えっ、そこまでしてもらうのは何か悪いよ……」
「大丈夫です! 気にしないで言って下さいね!」
「う、うん、必要なものが出来た時は相談してみるよ」
そう言えば、この世界でもミシンみたいなものはあるのかな?
当然だけど、うちのお母さんは料理の他に裁縫なども全く出来ないので、実家には裁縫道具すら無かったので、この世界での裁縫事情が全く分からなかった……
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