第323話 舞演祭 ⑧
自分とテレーザさんは舞演祭の屋台回りをしていたら、メイン行事である踊り子の踊り歩きが開始された。
「へ~、やっぱり日本の祭りと似てるな……」
10人位の踊り子達が楽器のリズムに合わせて皆が踊り歩いていた。
あまり詳しくはないが前世で見たことある感じのものだった。
「えっ? 何と似てるんですか?」
「ああ、独り言だから気にしないで」
「そうですか?」
テレーザさんは小首を傾げているが、転生しているのを隠している身としては、独り言には注意しないとダメかもしれないな……
最初の踊り子達が踊り歩いてから数分経過したら、次の踊り子達が踊り歩いてきたのだが。
「衣装や音楽がバラバラなんだね」
最初は日本っぽいリズムだったのに対して、二組目は洋楽っぽい早いリズムの音楽に合わせて踊る踊り子達がいた。
てっきり音楽の雰囲気は大体同じなのかと思っていたら、違うみたいだ。
「そうですね、踊り子達の団体事に好きな音楽を選んでいるらしいですよ。禁止事項は過剰な衣装を着てはいけないってだけみたいです」
「過剰な衣装ってカーラ先生みたいな装備?」
「あれくらいならギリギリ良いのではないですかね……」
「確かにあれが限界か」
カーラ先生のビキニアーマーはほぼ下着姿みたいなものだからな、あれ以上となると裸みたいなものか。
「私ももっと早く【スカウトフォート】にきていれば、踊り子として参加したかったです」
「テレーザさんは踊るのが好きなの?」
「そうですね、武術を教えてくれた師匠が踊りも得意でして、武術にも応用出来るからと、同時に習っていたら好きになりました。」
「へ~、凄いね」
「そうだ、来年は一緒に参加しませんか?」
「えっ……僕はパスかな。僕には踊りのセンスはほとんど無いからね」
前世の時から踊りや音楽みたいなリズムが必要なものに対するセンスは絶望的なのだけど、生まれ変わってもリズム感が無いのは継承されていた。
「来年まで一年ありますし、一年一緒に頑張れば覚えられるかもしれないですよ?」
「いや、昔にエレナからちょっと習ってみたけど、センスが無さ過ぎてエレナが諦めた位だよ」
エレナは他人のセンスを見極めるのが得意なんだけど、個人的にセンスの無い剣術には何も言わなかったのだが、そんなエレナが踊りに関してはあっさりと諦めた方が良いと言うレベルだから、本当にセンスが無いのだろうと思っていた。
「エレナが諦めるレベルですか……それはちょっと難敵ですね」
「でしょ? まあ、僕は元々身体を動かすのが得意じゃ無いから、それも影響してるのかもね」
多分、踊りに関するスキルでも取得しない限りは上手く踊れるようにはならないんじゃないかなと思う。
「それは残念ですね」
テレーザさんは凄く残念そうな表情をしていた、そんなに踊りたかったのかな?
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