第322話 舞演祭 ⑦
自分とテレーザさんは舞演祭へ遊びに来ていた。
「舞演祭って屋台は始まってるけど、踊り子が出るのはまだなんだね」
「そうですね、ちょっと早く来てしまったので、あと20分位じゃないですかね」
「それじゃあ、朝ご飯も兼ねて屋台で何かを食べようか、舞演祭は全て奢るから好きなのを食べてよ」
「えっ、大丈夫ですか? 私は結構食べちゃいますよ?」
「うん、それは知ってるから大丈夫だよ。そのためにお金は多めに持って来たから」
テレーザさんはエレナ並みに細い身体なのに食べる量はブラットの数倍は簡単にタベてしまうのを毎晩見ているから、テレーザさんが大食いなのは知っていた。
だけど、テレーザさんが大量に食べてもお腹が膨れたりする事も無いので、たまにテレーザさんの胃はどうなってるのか知りたくなる時があった。
「それじゃあ、今日はご馳走になります!」
「うん、遠慮なく食べちゃおう」
やっている場所は分からないが、どこかに【魔眼協会】の子供達がやっている屋台もあるだろうから片っ端から食べていくつもりでいこうと思っていた。
「まずはあれが食べたいです!」
テレーザさんが指さしたものお好み焼きっぽい屋台で、いきなり3人前を注文した時はびっくりしたけど、あっという間に口の中に消えていったのを見て、更にびっくりした……
その後もテレーザさんは片っ端から3人前を食べていくのだけど、一向に食べるペースは落ちなかった。
「レイくん、聞きたい事があったんですけど」
「ん? なに?」
「レイくんは髪の色を隠してますけど、黒くなってますよね? 何があったのか気になって……髪の毛の色が変わる人って調べたらごく稀にいるらしいですが、ほとんどが過剰な心的ストレスとか死にかけたりとかが原因だったりらしいんてます」
「あれ? 髪の毛の色は変えていたんだけど……エレナに聞いたの?」
「私の眼はレイくんと一緒で特別ですからね、偽装なども見破れるんですよ」
「それは凄いね……」
【天翔翼】に関しては不明な点がいっぱいあるけど、もしかしたら【魔眼】よりも万能だったりするのかな?
「ありがとうございます、それで……」
「ああ、髪の毛の色はストレスとかが原因ではないよ、詳しくは説明出来ないけど、身体に劇的な変化があったのが原因かな……でもテレーザさんが心配する様な悪いことはなかったよ」
「そんなんですか? なら良かったです。何か悩み事があれば私は全力でレイくんの助けになりたいんです、たとえ立場を捨てたとしても……」
いつもの明るいテレーザさんではなく、真剣な眼差しのテレーザさんが自分の目の前に居た。
「何でそんなに僕の為にしてくれるの?」
出会った時の記憶がほとんど無いのは申し訳ないと思うけど、ここまで真剣なる程の出来事が幼少時代にあったのかな?
「そこは女の子の秘密って事じゃダメですか?」
テレーザさんがいつもの笑顔で微笑んでいた。
「それじゃあ無理には聞けないね」
「ひとつヒントを出すとしたら……」
自分はテレーザさんのヒントを聞いたけど、逆にもっと分からなくなった……
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