第321話 舞演祭 ⑥

 自分は【魔導工房】で【吸魔の呪面】を同じ方法で作ろうとしているのだけど、6個作った結果出来上がったものは【封魔の兜】という【魔法】効果を封じるという兜で、透明になる効果もなければ脱ぐと効果は無くなるという、【吸魔の呪面】とは全然違うものが出来上がってしまった……


「何で同じものが出来ないんだ……」 


「何か製法以外に呪いの【魔導具】になる要因があるのでしょうか?」


「これは全く分からないな……」


「試しに素材を変えてはどうですか?」


「素材か……【神木材】と同じレベルってなると【神鋼材】なんだけど、あれは量がほとんど無いからなぁ……」


 未だに自分の作る【魔導具】は思っていたものになる頻度が何故か低いんだよな……


 スキル頼みだから品質が安定していないとかあるのかな?


 結局は朝まで頑張ってみたけど、先に【神木材】が無くなったので作れなくなってしまい、今日は諦める事にした。


 今度、フレイザードさんに【封魔の兜】を見せる時に聞いてみようかな。


「マスター、今日はテレーザさんと舞演祭をまわる約束があるので少しは寝た方が良いのでは?」


「ああ、そうだね。流石に眠い状態でまわるのはテレーザさんに悪いもんね」


 テレーザさんは自分と一緒に見て回れるのを凄く楽しみにしていたから、体調は万全にしておかないとと思い、少し寝ることにした……



「マスターが寝ている間に原因だけでも……」


 ☆


 自分は少し寝た後、テレーザさんを待つ為にリビングへと向かった。


「あれ? もう来てたの?」


 30分位は早く来た筈なんだけど、もしかして時間を間違えた?


「はい! 楽しみだったんで部屋で待ってられなくて!」


「そっか、そしたら早く舞演祭に行ってみる?」


「行きます!」


「ちょっと良いですか?」


「えっ、マギリさん?」


 振り返るとちょっと怒っているマギリさんがいた。


 なんか怒らせるような事をしたかな?


「昨日の夜はどこに行っていたんですか? 部屋にはいなかったみたいですが?」


「あ……」


 実際には部屋に居たんだけど、【魔導工房】内に居たからマギリさんには夜間勝手に外出したと勘違いされたみたいだ……


【魔導工房】については話せないからどうしたものか……


「レイさんは護衛対象なのですから、セシリアさんが一緒だとしても勝手に外出するのは止めて下さい」


「はい、すいません……」


「今日はテレーザ様が舞演祭を楽しみにされているのでもう言いませんが、外出する場合は何人かの護衛はどうしても付きますが私に話してからにして下さい。」


「分かりました」


 マギリさんには申し訳ない事をしたな……


 次から【魔導工房】に入る時は、すぐに戻ってこれるようセシリアに部屋周辺の監視をしておいてもらおうかな。


「それじゃあ、レイくん行きましょう!」


「うん、待たせたね」


 いつも以上のテンションになっているテレーザさんと舞演祭へ向かう事にした。





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