第319話 ジャスティスマスク
【ジャスティスマスク視点】
俺が生まれた時には人間の住めるエリアの9割以上が魔王軍に支配されていて、俺達人間は人が住むには過酷な荒野でひっそりと暮らしていたのだが、みんな生まれた時から過酷な環境だったので気にはならないみたいだった。
しかし、俺には前世の記憶があった為、こんな人間の住めるような環境ではない場所に閉じこめられている事に不満があった。
俺が生まれ育った場所を出て、魔王討伐の旅に出ると言い出した時にはみんなから反対されたが、俺には神より与えられた才能があったので迷いは無かった。
それから俺は魔王軍の支配しているエリアに向かうべく、2年もの歳月をかけて目的の場所を捜し当てた。
「これが超古代文明の遺跡って呼ばれている転移装置か……」
この世界は魔王軍などもいない遥か昔、超古代文明と呼ばれる文明が栄えていたらしいのだが、人間同士の争いにより滅んでしまったと教えられたが、詳細は聞いていないので分からないが、どこの世界にも人間同士の争いはあるのだなと思った。
まあ、俺としては遥か昔の出来事よりも、現在進行形で人間の脅威になっている魔王軍の方がよっぽど問題だ。
この転移装置を使うことにより、魔王軍の支配する結界内に侵入する事が出来るのか……
俺が魔王軍の支配する結界内に侵入してから、一週間が経過したところで俺は魔王軍に支配された街を発見した。
さてと、俺は持ってきた鞄から金色のマスクと赤いマントを取り出し、服の上から身につける。
これは俺が魔王軍に対して正義の鉄槌を与えるヒーロー、ジャスティスマスクに変身するためのアイテムだった。
俺は自分の力を信じて魔王軍の街に正面から攻める事にした。
「大変だっ! 見たことの無い化け物が一匹街に近寄って来るぞ!? 至急、街の警備隊を呼んでくれ!」
街の門番をしていたゴブリンみたいな緑色の身体のモンスターが、俺を見て化け物と叫びながら持っていた槍で攻撃してきた。
「全く……どっちが化け物だよ……」
俺は槍を左手で受け止め、右手でゴブリンの腹を殴りつける。
「ゴフッ……」
「弱いな……やっぱりゲームと一緒でゴブリンは雑魚なのか?」
ゴブリンは大量の血をはきだして倒れると、全く動かなくなった。
もしかしたら倒したゴブリンが消えてアイテムやお金に変化するのかなとちょっと期待してみたが、そんなゲームみたいな事は起きなかった。
「やっぱり現実はゲームみたいにはならないのか」
ちょっとガッカリしながらも街の中に侵入するとモンスターの癖に街並みは綺麗に作られており、イメージしていたモンスターの溢れる廃墟とは全く違っていた。
そして、先ほどの救援を呼びに行ったゴブリンが、他の武装したゴブリンやオークらしき豚頭やリザードマンみたいなモンスターが大量に駆けつけてきた。
「俺は正義の使者、ジャスティスマスク! お前ら魔王軍を倒しに来た! 死にたければかかって来い!」
俺がそう叫ぶとモンスター達は一斉に持っていた武器で攻撃してきた。
「「!?」」
しかし、雑魚モンスターの使う武器で傷が付くほど、俺の身体は弱くないので、多少はチクッとするがそれだけで、身体の表面すら傷をつける事は出来なかった。
そして俺の攻撃は面白いように当たり、モンスターは全て一撃で倒して行った。
「この感じだと思ったより楽に魔王討伐が出来そうだな」
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