第316話 舞演祭 ④
コーデリアとシンシアが職員室から戻って来たので、舞演祭へ一緒に行かないかと誘ったのだけど、ちょうどふたりとも別の用事があるらしくて行けないみたいだった。
「せっかく誘ってくれたのに、すいません」
「舞演祭、行きたかった、残念……」
「まあ、先に予定が入っていたら仕方ないよ、エレナも忙しそうだしテレーザさんとだけになったね」
「楽しみにしていますね! あと、2日目にどうしても一緒に見たい踊り子が参加するので、その時間は空けて欲しいんです!」
「えっ、前もって時間を教えてくれれば別に大丈夫だよ」
舞演祭は全部で3日間あるのだけど、3日間で登録している踊り子が踊れる時間は決まっているらしい。
テレーザさんの知り合いが踊るのは2日目の昼前との事だった。
「ブラットはどうするのかな?」
「ブラットくんにはニナさんを誘うようにしましたので大丈夫です!」
「えっ、テレーザさんがブラットに?」
「はい、ブラットくんがどうしても私と戦いたいっていうので、負けたらニナさんを誘うという賭をしてブラットくんは負けたんです!」
「ブラット……」
そんなにテレーザさんに勝ちたいのか?
「まあ、ほとんどエレナの助言通りに戦って、ブラットくんが挑戦したくなるように調節したんですけどね」
「エレナの助言で調節? テレーザさんはブラットにほとんど勝ってるって聞いたけど、すごいね」
自分でもブラットとの勝率は半分以下だったりするのに、周りから聞いた限りではテレーザさんのブラットへの勝率は100パーセントらしい。
「はい、私とブラットくんの戦い方だと私の方が相性的に良いんですよ、だから勝てているのと、ブラットくんが危険なスキルは使わないのもありますね」
「なるほどね、確かにブラットが全力で殴ったり斬ったりしたら、どれくらいの威力か分からないもんね」
「だから逆に悔しいんじゃないですか?」
「だけど、それでも勝てる時点で凄いけどね」
普通はブラットが負ける事自体がレアなのだから、勝っている時点でテレーザさんは凄いと思う。
「ありがとうございます! レイさんに評価してもらえる様に死ぬ気で修行しましたから、嬉しいです!」
「やっぱり修行は過酷だったの?」
ブラットもテレーザさんは絶対に過酷な修行をしているはずと言っていたからな。
「今は慣れましたけど、師匠から修行をつけてもらい始めた時は、毎日指や腕とかあばらを骨折していましたね」
「うわ……痛そう」
「最初は怖かったけど、恐れていたら素手で武器を受け止めたりできませんから、慣れるまでひたすら骨折してました。【天翔翼】は【魔力】の消費が激しいので、当たる直前に展開したりするのが良かったりするんですよ」
「よく頑張れたね。僕には耐えられない気がするよ」
骨折するだけでものたうち回りそうだな。
「レイさんと冒険するならやっぱりそれくらいは努力して強くならないといけないかなと思ったんで耐えられました!」
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