第315話 舞演祭 ③

 自分がジェーンさん用の呪い【魔導具】を完成させたのは朝方だったので、自分は屋台の串焼きに使うタレを3種類とケバブもどきのソースを作っていた。


 やはり焼き串のタレと言えば醤油ベースの甘辛ダレと塩ベースの微かに酸味の効かせたサッパリ塩ダレ、あとはチャレンジ系の複数のスパイスと粉状のチーズを混ぜたピリ辛チーズ味を作ってみた。


 ケバブもどきにはやはりピリ辛のトマトソースとこの前ニナさんがサンドイッチにアボカドっぽい野菜を使っていたのを見て買っておいたものとマヨネーズとワサビっぽいものを混ぜたアボマヨ風ソースを作っておいた。


【魔眼協会】にいる動ける子供達は全員、料理や掃除などの手伝いをしているらしいから屋台の仕上げには心配はしなくて良いらしい。


 同じ【魔眼使い】ってのもあるけど、未来がほとんど無いと言われているのに真面目にお手伝いなどをする優しい子供達を何とか救ってあげたいという気持ちとやりたい夢があるなら応援してあげたいという気持ちになっていた。


 【魔眼】はあるだけで高性能な効果なものばかりだけど、皆がみんな自分みたいに【魔眼】を持って生まれて喜ぶわけではないというのは【魔眼協会】に通い始めてから強く感じる様になっていた。


 そして、何故【聖教会】は【魔眼使い】への対応が歪なんだろうという疑問も同時に芽生えていた。



 ソースなどを完成した位で、ちょうど【ハンタースクール】に行く時間になったので全て【アイテムボックス】に仕舞い登校する。


「さてと、授業が始まる前にコーデリアとシンシアを探そうかな? 普段なら既に教室にいるはずなんだけど……いないな」


 今日の授業もダンジョン攻略なので、授業が始まる前にふたりを舞演祭に誘いたかった。


 今日に限って教室にいない……


 どこへ行ったのだろう?


「マスター、ふたりは職員室にいますね」


「職員室? もしかしてシンシアの学科……だとコーデリアは関係ないし、何の用事だろう?」


 シンシアは成績がかなり微妙なラインらしいから職員室に呼ばれるのは分かるけど、コーデリアは全体的に好成績だし自分みたいにやらかしたりもしないので職員室に呼ばれることは無かった。


「話しているのはカーラ先生ではないですね、マスターが面識の無い女性教師だと思われます」


「そっか、なら戻って来てから誘うかな……」


 相変わらずセシリアの探索能力は凄いなと思いながら教室で待っているとテレーザが話しかけてきた。


「レイくん! 今度、舞演祭ってのが【スカウトフォート】の大通りであるんだけど、一緒に見て回らないですか?」


 まさかのタイミングでテレーザさんから舞演祭に誘われてしまったな……


「あ~、ちょうどコーデリアとシンシアを誘って行こうかなと思っていたんだけど、一緒にいく?」


「くっ、誘うのが遅かった……エレナがもっと早く教えてくれれば良かったのに……」


 テレーザさんはちょっと悔しそうな感じで頬を膨らませていた。


「エレナも来るの?」


「あっ、いえ! エレナは一緒にまわりません! あと私も皆さんとご一緒に舞演祭をまわりたいです!」


「そう? ならあとはコーデリアとシンシアに……あっ、戻ってきたな」


 ちょうどコーデリアとシンシアがやっと職員室から戻って来ていた。

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