第314話 吸魔の呪面

 自分は部屋に戻ってから【魔導工房】に入り、どんな【封印具】を作るか迷っていた。


 以前にウリミアさんに渡した【封印具】は片目を隠す必要があったので、眼帯タイプだったのはちょうど良かったなと思ったけど、ジェーンさんの場合は両眼を封印する必要があるのだけど、ジェーンさんは両眼を隠していたせいで日常生活に支障をきたしていた。


 だからもし【封印具】をジェーンさん用に作るなら、両眼を封印した上に視界を確保して、街中を歩いても違和感の無いように変装機能も付けたいと思った。


「マスター、流石に3つの条件をクリアする【封印具】は難しいのではないですか?」


「やっぱりそうなのかな?」


「マスターなら最終的には完成させられるとは思いますが、明日までに完成させるのが難しいという意味です」


「そっか、作業時間的には数時間しかないからね……」


 時間が無いから何回も失敗していられないな……


 まずはどんな感じにしようかな。


【神紙】を使うなら包帯みたいに両眼を隠すように……それだと子供には毎日大変だからダメかな。


 仮面みたいなのにしたら良いかな?


「仮面にするのはどうかな?」


「良いと思います。素材は【神紙】にするんですか?」


「いや、【神木材】で仮面に……いやヘルメット型に彫ろうかな。簡単の被れる様に出来たら良いかな」


「頭のサイズは分かるのですか?」


「うん、頭のサイズは見れば大体分かるよ」


 前世のバイクヘルメットの販売員経験で頭のサイズは見れば分かるようになっていた。


「流石ですね」


「まずは正方形の【神木材】をヘルメット型に削って……」


 自分は目的の性能になるまでヘルメットを削っていき、3個目を削っている時に手応えを感じ始めたのでヘルメットの内側の額部分に【魔導石】を埋め込む事にした。


 これで期待した性能が無ければ【神紙】で包帯みたいにぐるぐる巻きにするしかないかな。


 これで成功して欲しいなと思いながら、両眼部分に穴を空けてからヘルメットの表面を細工していく。


 そして完成したものを【鑑定】してみると……


【吸魔の呪面】という名前が出てきた。


「うわっ、呪い装備が出来てるじゃん!?」


 おかしいなぁ、途中までは手応えがあったんだけど……


「どんな性能だったのですか?」


「ん? 性能はまだ見ていなかったな……」


【吸魔の呪面】

 装着者の意志により装着した場合に呪いが発動する【魔導具】。

 ※魔を吸収される呪いにかかる。

 ※呪い発動時は【吸魔の呪面】が透明化してしまうので解呪不可能。


 あれ?


 これって実は悪くない効果なんじゃないか?


「どうでしたか、マスター。もし失敗なら時間的に次のを作らないと学校の時間に間に合いませんよ?」


「いや、呪いの【魔導具】ではあったんだけど、性能は割と悪くないんだよね。あとはジェーンさんとフレイザードさんがどう判断するか次第かな……」


 普通に呪いの装備品だと言われたら躊躇うから、どうなるか分からないけどジェーンさんの問題はこれで解決しそうな気はしていた。


 そう言えば、最近の自分が作る【魔導具】とかは名前や効果の響きが不穏な気がするな……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る