第160-2話 弱点克服
【ブラット視点】
俺は放課後にいつも修練所でオヤジから言われている自主鍛錬をしているのだけど、最近は何故かディアナさんは模擬戦を挑んできて、アメリアさんは毎日の様にレイの事やコーデリアやシンシアについていろいろ聞いて来るようになっていた。
「ブラットくん、私達と一緒にパーティーを組まないか? ブラットくんは前衛、私は中距離、アメリアは後衛、エレナちゃんは探索などでバランスは良いと思うんだが……」
「何度言われても無理ですよ。俺とエレナがパーティーを組んでるのも授業でダンジョン攻略が必要だからであって、俺達は無理してダンジョン攻略をする気は無いんですよ」
「2人ともあれだけの実力があれば、1年生のうちに歴代一位にもなれるだろうに……」
ディアナさんには悪いけど、俺とエレナには他にやりたいことがあるからな、あまりダンジョン攻略とかパーティーメンバーとかの付き合いで時間を使いたくないと思っているんだよな……
エレナは既に俺よりも更に先の強さを手に入れているから良いけど、俺はまだそのレベルには達していないから自分を強くする事に集中したかった。
「ほらほら、ディアナはあまりしつこいとブラットくんに嫌われるわよ~」
「むむ……今日は諦めるか」
「それよりブラットくん! レイくんの欲しそうなものとか分かった?」
「いや、特に無いみたいだぜ、レイは欲しければ自分で調達するか作るからな」
アメリアさんは昔にやったレイとの勝負で負けた時の約束を果たそうと、レイの欲しそうなものとかを聞いてきたりするんだが、多分アメリアさんはレイの事が気になっているんだろうなと思っている。
「そんなにレイの為に何かをやりたいなら、ディアナさんと一緒にレイのパーティーに入れてもらえばいいんじゃないか? アメリアさんのポジション的にレイやシンシアと被るけど、ディアナさんが加わるなら良いと思うぜ」
レイのパーティーには近接の出来る奴がいないから、ディアナさんとレイの2人が前衛もしてサポートし合えばなかなか良いパーティーになりそうな気はした。
「なっ、ブラットくん! それはダメだ! 私はブラットくんのパーティーに入りたいんだ!」
「ディアナがこんな感じだから無理かな。それにあのパーティーに入るとますます私の存在価値が無くなりそうだから……」
「アメリアはやっぱり色気で攻めないとダメよ! せっかくアメリアには2人にはない武器があるんだから!」
「うう、確かにレイくんはよく私の胸ばかり見てくるけど、その後のコーデリアさんとシンシアさんの視線が怖いのよね」
「ああ、そう言えばかなりの殺気を感じるよな………何故なんだ?」
「ああ……ブラットくんもレイくんと似たもの同士なのか……ディアナ頑張れ……」
「ああ、諦めずに頑張るさ。私の場合はライバルがいないからまだ良いが」
「それ以上は言わないで……」
「……?」
たまに2人の会話が分からないときがあるんだが、理由は何故か教えてくれないんだよな……
「あっ、ブラット、やっぱりここにいましたね!」
「ん? コーデリアとシンシア? どうしたんだ?」
2人が修練所に来るなんて珍しいな?
「ブラットにお願いしたいことがあるんです!」
「お願い……」
「まあ、内容によるけど」
2人が俺に相談なんて珍しいな……ってか俺に出来る事なのか?
「えっと、私達の弱点克服に協力して欲しいんです!」
「弱点?」
「はい、私は脚のいっぱいある虫系や蛇みたいな爬虫類が苦手なんです……」
「私は、虫系が、苦手……」
「それを俺に? 頼む相手を間違えていないか? どう考えてもエレナの方が向いている気がするんだが?」
「既にエレナには頼んだのですが、ブラットが適任だって言われました」
「まじかよ」
エレナのやつ、俺にまわしてきたのかよ……
ってか虫嫌いは治るのか?
「なによあなた達、虫とかが嫌いなの?」
「……はい」
相変わらずコーデリアさんとアメリアさんは仲が悪いのか?
「それじゃあダンジョンの1層とかどうしたのよ? あそこは虫ばかりじゃないのよ」
「私は気絶してしまって、気が付いたらクリアしていました……」
「レイくんの足を引っ張って……」
「その弱点克服はブラットくんに代わって、私がやろうか?」
「ディアナさんは虫嫌いとか治せるのか?」
「うむ、我が一族は嫌いなものは小さいときにほとんど無くすから、それと同じ事をすれば大丈夫だろう。2人はどうする?」
ディアナさんの種族は珍しい竜人族だけど、竜人族につたわる弱点克服法があるのかもしれないな。
「「お願いします!!」」
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