第160話 カンデラリオ ②
カーラ先生の怒りが教室内を支配して、何人かは股間を濡らしているクラスメイトがいたみたいだった……。
自分の場合はお父さんから殺気に対する訓練を受けていたので、他のクラスメイトよりは耐性があったかもしれない。
「カンデラリオ、冒険者は仲間と助け合いながら依頼やダンジョン探索、魔獣討伐をする。 本人が辞めたいなら別だが、1度の失敗でパーティーをクビにするなんて認めないぞ、しかも今回はお前の失敗を他人に押しつけるなんて論外だ!」
「う、うるさい! 俺は天才なんだ!」
まだカンデラリオは自身を天才だなんて言うんだな……。
自分なら本当の天才は、エレナやブラットだと思う。
それ位に2人は、他のクラスメイトとは実力が違っていた。 もちろん、自分は転生者なので前世の知識が無ければ普通の方だと思っている。
「そ、そうだ! メンバーが辞めたいならメンバー変更出来るんだよな?」
「本人意志でパーティーを抜けるのは構わないが、追加は認めないぞ?」
「そしたら、メンバーが減るばかりじゃないか!」
「カンデラリオ、お前が本当に天才なら3ヶ月後にある技能テストで3位以内に入ってみろ、そしたらメンバーの変更は認めてやるが、それまではパーティーメンバーの変更は私の権限で認めない。」
「そんなもの、俺の親に頼めば……」
「試しても良いが、学校内には例え王族でも権力が効かないぞ。」
あれ? セシリアの件でお母さんは学校に、年齢を強引に自分と同級生にしたような……。
☆
結局、カンデラリオの意見は通らず、技能テストまでは今のパーティーを変更をする事は出来ない事になった。
そして、自分達は5人でテスト勉強をしていた。
「くっ、技能テストが実技だけじゃないのを失念していたぜ……。」
「いや、カーラ先生が最初の授業で言ってたじゃん。」
「相変わらずブラットは戦闘以外には頭が回らないにゃ。」
「私としては、完璧過ぎなくて安心していますよ。」
「うぐぐっ……。」
シンシアは問題を見ながら頭を抱えて唸っていた……。
「ふっ、シンシアがいて助かったぜ。」
「下の人を見たらダメにゃ。 そんなんじゃ鍛冶屋になれないにゃ。」
「あれ? ブラットは冒険者になるんじゃないんですか?」
「ああ、30代以降の話だよ。 20代は冒険者の予定だぜ。」
「そうだったんですね。 なら尚更、数学などはやらないとダメですね。 あとは独学で経営学を……。」
「経営学があるのか……。」
「最悪は経営の人を雇うにゃ……。」
「ブラットに経営が出来るのかな……?」
「セシリアさんに経営を任せるのもありかもにゃ。」
ブラットは完璧に戦闘脳なので、経営が出来るかとても不安だな。
☆
自分達のパーティーは学校内でも噂になる位に有名になってるみたいだった。
他にはブラット。 他のクラスではアメリアさんとディアナさん。 あとは女性のみの6人パーティーが有名になっていた。
エレナは基本的には実力を隠しており、カーラ先生以外はブラットのサポート役程度の実力しかないと思われており、ブラットにみんなの注目が集まっていた。
ブラットは、たまにカーラ先生と模擬戦をしているから、かなりの実力があると認識されていたが、エレナは人前では上手く手抜きをして負けたりしているから、ブラットに助けられているイメージが定着してきていた。
「エレナはなんで実力を隠しているの? 実技も学科もかなりレベル高いでしょ?」
「トラブル回避の為にゃ。 私はサポート役で十分だにゃ。」
「未だにエレナのスキルは【野生の勘】しかわからないし、謎よね?」
あとは、氷属性を使うことしか分からない。
「他のスキルは親から使用禁止されているにゃ。 いざという時以外は使わないにゃ。」
「……。」
本当にエレナは謎ばかりだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます