第161話 魔導王伝説、再び……

 自分は放課後にコーデリア、シンシア、セシリアと一緒に【スカウトフォート】で1番の大きい中央図書館に来ていた。


 そして、中央図書館を見て思った事が……


「でかい……。」


「流石は【王国】内でも蔵書量が多いと評判の中央図書館ですね。 学校の先生でもなかなか行きづらいらしいですよ。」


「それは僕もカーラ先生から忠告を受けたよ。 中央図書館は研究者向けで、【ハンタースクール】の生徒は学校内にある図書館でも十分な知識は手に入るってね。」


 中央図書館の中に入ると、そこはデパートみたいな広さになっていて、ジャンル毎にエリアが分かれてはいるが、ジャンル自体が300以上に分かれていた。


「本に、酔いそう……。」


「シンシア、しっかりして……。 レイの手伝いに来たんでしょ。」


「いや、シンシアは休んでいても良いよ?」


 シンシアは最近、勉強漬けだから大量の本に潜在的な恐怖を感じたのかもしれない。


「レイ、ごめん……。」


 シンシアは秒殺で近くにあった席に座り、ぐったりしてしまった。




「マスター、私は予定通りに端から情報収集してきます。」


「セシリア、頼んだよ。」



 そういうとセシリアは本棚の端から本を取り出しては高速で本を読み始める。



「あ、あの。 レイ? セシリアさんは何を?」


「セシリアは一度覚えた事は忘れないという能力を利用して中央図書館内の情報を全て覚えてもらうつもりなんだよ。」


 まあ、セシリアの記憶量の限界はあるかもしれないが、【虹結晶】の中には記憶媒体になりそうなスキルの物もあったから多分大丈夫だろう。


 もし、中央図書館の情報を全て覚えてもらえれば前世の検索サイトみたいな事が出来るかもしれない。


「中央図書館の情報を全て……? その能力を試験中に欲しいです。」


「それは……。 カンニングにはならないのかな?」


 セシリアが本気を出してしまったら、ひっかけ問題以外は全問正解だろうけど、倫理的に大丈夫なのか?



「さてと、僕達も目的の本を探そうかな。」


「えっと、レイの探している本は【魔導王伝説】でしたよね?」


「うん。 【チェスガン】でも一度読んだんだけどね。 内容に穴があったから、中央図書館みたいな大きな図書館で調べたかったんだよ。」


「そうだったんですね。 ジャンルは何になるのですかね……。」


「歴史? いや、違うな……。」


「お二人は本をお探しですか?」


 自分とコーデリアがどこから探すか迷っていたら、図書館の職員女性が話しかけてきた。


「はい。 【魔導王伝説】って本を探しているんです。」


「まぁ、【魔導王伝説】とはなかなか良い趣味ですね。 英雄伝説に憧れる人がたまに探しにきますよ。」


「あはは。」  


 子供が【魔導王伝説】を探していたら、英雄に憧れる少年って感じに見られるか。


【魔導王】を目指しているから間違えではないか……。


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