第311話 舞演祭
ピクニックから帰ってきてから自分はコーデリアとシンシアの師匠となりそうな人を探しに【魔眼協会】に来ていた。
「それでふたりの師匠を探しているでござるか?」
「はい。ここになら強い人がいっぱいいるかなと思って……」
「ふむ……結論から言えば適任者はいないでござるよ」
「いないですか?」
【魔眼協会】には何人も凄い人がいるって聞いていたから、ふたりに教えられる人がいると思ったんだけどな……
「レイ殿、ここには【魔眼】について詳しい者はいっぱいいるでござるが、それ以外の事はほとんど出来ないでござるよ」
「冷静に考えればそうでした」
「レイ殿が教えた方が良いと思うでござる」
「僕だと厳しく出来ないし、教えられる事はすでに教えたんですよね」
「それだとなかなか厳しいかもしれないでござるな……もし教えられるとしたら……」
「誰か知ってるんですか?」
「誰かは分からないでござるが、【精霊使い】と言えば【聖教会】の方が詳しい筈でござるよ」
「【聖教会】……?」
「【聖人】の中に【聖女】と呼ばれる者がいるでござるが、初代【聖女】が【精霊使い】だったから【聖教会】には【精霊使い】の資料が残っている筈でござる」
「そうなんですか……」
この前【マリア学園】の教師や生徒と遊びに行ったけど、コーデリアの事が話題になってたりするのかな?
「話は変わるでござるが、【魔眼協会】も明後日からある舞演祭で屋台を何店か出すでござる、良かったらレイ殿も手伝って欲しいでござるよ」
「舞演祭って何ですか?」
「【スカウトフォート】の大通りを使って演舞者達が踊りの技能などを競いながら進んでいくお祭りで、大通りの両側に大量の屋台が出店するでござるよ」
「なるほど、そういうお祭りがあるんですね」
前世の日本でも似たようなお祭りがたくさんあったけど、似たようなイメージで良いのかもしれないな。
「出店して【魔眼協会】の資金を稼ぐんですか?」
「違うでござるよ、【魔眼使い】の中でお店をやりたかったけど【魔眼】の為に夢を諦めた者達に数日だけでも楽しんで欲しいとフレイザード様が昔からやっているでござる。利益は参加した【魔眼使い】で山分けにしているから【魔眼協会】には利益はないでござるよ」
「それなら僕も全力で協力させてもらいます」
「ありがたいでござる、出来ればレイ殿には【素材の極み】を使って料理などの下準備をして欲しいでござる」
「分かりました」
ここにいる【魔眼使い】は暴走手前だったり、安定しないという理由で地上にはほとんど出たがらない人が多い。
そんな【魔眼使い】にもいろいろな夢があったのは容易に想像出来るだろう……そんな【魔眼使い】のお手伝いと聞いたら、是非とも手伝いたいと思った。
気分転換にコーデリアやシンシアも誘ってみようかな。
「ちなみに何を作るかは決まっているんですか?」
「それは我が輩にはちょっと分からないので、担当の者を紹介するでござる」
自分はペンザエモンさんに連れられて担当者のいる居住エリアに向かうのだった。
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