第308話 黒き悪魔部隊 ③
アビスハート達の餌問題は一応、自分が【魔導】を与えれば大丈夫というのが分かったので、アビスハート達をまたセシリアに任せて、焚き火の場所まで戻ってきた。
「あれ? ブラットは起きちゃったの?」
さっきまで普通に寝ていたのに、何故かブラットは剣を持ちながら起きていた。
「いや、急にあれだけ不穏な気配が近くで大量発生したら警戒するだろ……まあ、レイが何かをしているのかなと思って向かわなかったけどな」
「えっ、そんなにヤバい感じだった?」
自分は全然気にならなかったけど……
「ああ、魔犬とかの比ではない【魔力】を持った生き物が突然数百匹現れた感じがしたぜ、ってか今でもヤバい気配は変わらないけど、大丈夫なんだよな?」
「ああ、うん。僕のペットみたいなものだから気にしなくて良いよ、しかしヤバい気配のままだと街中に運べないかな?」
自分にはブラットの言うヤバい気配はわからないのだけど、眼が黒くなったのと関係あるのかな?
「あのまま街中に運んだらパニックになるんじゃないか」
やっぱりこのままアビスハート達を【スカウトフォート】に連れて行くのはトラブルになる可能性があるか……
『セシリア、会話は聞いてた?』
『はい、聞いていました。アビスハート達に気配を消す様に指示を出しましたが、すぐに出来るかは分かりませんね』
『まあ、簡単では無いだろうね……』
仮にアビスハート達と会話が出来たとしても気配を至難の技だと思うけど、もしかしたらもあるので、一応指示だけはしておいてもらった。
気配の消せる【魔導具】があれば良いのだけど、アビスハート達が【魔導具】を使えるかも分からない上に、材料も不足しているからずくには用意する事は出来なかった。
「そう言えば女子達は大丈夫?」
ブラットがアビスハート達の気配に気が付いて起きたのだから、カノー先生やシチリス先生が警戒していたら説明が面倒だなと思った。
「……ヤバい気配を感じた時も何の反応も無さそうだから大丈夫じゃないか、まあまあ離れた距離だったから気が付いていないのかもな……」
そう言えば、ここからセシリアの居る場所まで500メートルはあるけど、ブラットはこの距離でもアビスハートみたいな小さな生き物の気配を正確に探知出来るのは凄い事だったと再認識しないとと思った。
「それもそうか。なら女子達には朝まで寝ていてもらおうかな、ブラットもまた寝て良いよ」
「もう完全に目が覚めちまったよ……」
「それは悪かったね」
「そうだ、ちょっとコーデリアやシンシアの事で聞きたかったんだけどさ、なんか元気ないのは何かあったのか?」
「ブラットはそういう事に気が付くのに……」
ニナさんの事は鈍感なんだよな……
自分みたいな内面おじさんだからモテないって思っていたのとは違って、ブラットは生まれた時からイケメンだからモテるのは分かると思うんだけどな。
「何のことだ?」
「いや、何でもないよ。コーデリア達が落ち込んでるのは僕との戦闘能力と差が付いていてあまり役に立てていないのを気にしてるんだよ」
「なるほどな……今更レイと比べても仕方ない気がするんだけどなぁ」
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