第305話 セトラード ②

 お昼ご飯を食べた後はミューラさんのアイドルグループセトラードの話をしていた。


 ミューラさんからアイドルグループとはどんな感じかを聞いていると、やっぱり前世であった様な可愛い4人組が音楽に合わせて踊るってのであってるみたいだった。


「ミューラさんが踊ったりするイメージはあまりなかったから意外かな」


「それはよく言われる、ここではちょっと再現出来ないのが残念だけど」


「歌と言えばレイの妹も上手いらしいよな、ミューラさんみたいなアイドルグループに向いてるんじゃないのか?」


「ああ、フローラは上手いね……でもアイドルグループはどうなんだろう?」


 フローラは確かに【職種】的にもアイドルにぴったりかもしれないが、ぴったり過ぎて熱狂的なファンが暴走する未来しか見えないのだが……


「レイくんに妹さんがいるんだ? 歌が上手いなら会ってみたいかも」


「今は【スカウトフォート】に居ないから、ちょっと無理かな……あっ、セシリアが戻って来たかな」


 アビスハートを回収したセシリアが戻って来てくれた。


「お待たせしましたマスター」


「ありがとう、思ったより時間がかかったね?」


「はい、ちょっと大型の魔獣と遭遇したので倒してきました」


「えっ? この辺には魔犬レベルしかいないんじゃないの?」 


 多少過ぎて強い魔獣が出てきてもセシリアなら倒せるだろうけど、魔犬の数も多いみたいだし何かあるのかな?


「セシリアさん、その大型魔獣はどの辺だったのですか?」


 シチリス先生はやはり監督役の先生なのでセシリアに聞いてきた。


「ここから南に5キロほど移動した森の中です、種類は熊でしたが熊の魔獣にしては小型だったと思います」


「5キロ? この短時間で10キロも移動した上に熊の魔獣まで倒したのですか?」


「はい、何か問題がありましたか?」


「いえ、魔獣に関しては距離的に今回は気にしなくて良いでしょう。下手に刺激しては何が出てくるか分かりませんからね、後日、調査に向かわせれば良いです」


「分かりました」


「それよりも、レイくんやブラットくん、コーデリアさんも凄いですが……セシリアさんも凄いんですね、【ハンタースクール】の生徒はみんなこんなに優秀なのでしょうか……」


「シチリス、【ハンタースクール】の生徒がこんなに優秀なら【マリア学園】の生徒にももっと厳しくした方が良いんじゃないか?」


「それも考慮した方が良さそうですね、それに私達教師も鍛えた方が良さそうです」


「ええっ! 【マリア学園】の授業は今でも厳しいですよ!」


「うん、祈りの授業とか、かなり過酷だと思う……」


「祈りや祝福の練習は他の学校には無い【マリア学園】独自システムですが、それ以外の戦闘能力を高める授業にも少しは力を入れた方が良いという事ですよ」


「私達に戦闘能力って必要ですか?」


「極端に強い戦闘能力は必要ないかもしれないですが、ある程度の身体能力はあった方が良いですね、教師は今回みたいな生徒の護衛をしたりもしますから」


「そう言われるとそうかもだけど……」


 シチリス先生の言うとおり、どこで魔獣が出てくるか分からない世界だから最低限の身体能力は必要かなとは自分も思った。


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