第304話 セトラード
大量にあったサンドイッチや唐揚げはなんだかんだで二人前位しか余らなかった。
みんなランチなのに食い過ぎじゃないか?
「ニナのサンドイッチは安定の美味さだったけど、レイくんの唐揚げには衝撃を受けたわ~」
「そうだね、作り方を教えて欲しいくらいですね」
「あ~、レイ達の作る料理はレシピを聞いたとしても再現するのは難しいらしいぜ、食堂を経営しているおふくろがレイから聞いたレシピを再現する為に一週間以上店に泊まり込んでチャレンジしたらしいけど、結局はダメだったらしいしな」
「えっ? それってプリンの話だよね? そんな事になっているなんて全然知らなかったよ……」
半年間お世話になったお礼に手作りプリンとレシピを渡した気がするけど……そんなに気合いを入れて再現しようとしていたとは思わなかった。
「まあ、良いんじゃないか? オヤジと一緒でおふくろも職人気質だから、好きでやってたんじゃないのか」
「それなら良いんだけど……」
「レイくんの料理はプロも諦めるレベルなんだ……」
「カノー先生、諦めて買いましょう! そして私達にも奢って欲しいです!」
「ハーミットさん、私達の安給与にいわないで……」
「そうだよ! 私達の給与は安いんだからね!」
「ええっ……これから私達が目指すのが安給与って……」
「それが現実。でもハーミットさん達の頑張り次第で給与は上がるから、今から頑張ると良い」
「そうだね! 私達もまだ新米に近いレベルだけど、頑張りの結果次第で【聖教会】の職員になれたら給与もドーンだよ!」
「そっかぁ、私は頑張らないとなぁ……その点、ミューラは良いなぁ」
「私もいつまで稼げるか分からないよ?」
「ミューラさんは何か働いてるの?」
「ああ、レイくん達の学校でのミューラのグループは有名じゃないんだね……」
「私達の活動範囲は【マリア学園】周辺だから、【ハンタースクール】からはあまり来てくれるファンはいないかも」
「グループにファン? ブラットは知ってる?」
「俺にも何をやっているか分からないぜ、そういう情報収集はエレナに任せっきりだしな」
「私はセトラードってアイドルグループのメインボーカルをやってるのよ」
「へ~、アイドルグループ?」
確かにミューラさんは可愛い感じだしアイドルにいるって言われら違和感のない感じではあるけれど、この世界にアイドルグループがあるんだなと思った。
「レイくんはアイドルって分かります?」
「うん、分かるよ。歌ったり踊ったりするチームだよね」
「そうそう、そういうの。今度良かったら見に来てよ。毎週学校が休みの時に活動している事が多いからコーデリアさんと一緒にでも」
「僕は休みが合えば見に行ってみたいかな、コーデリアは?」
コーデリアの気分転換にアイドルグループみたいな賑やかなイメージのイベントはちょうど良いかなと思った。
「私も一緒に行きたいです」
「なら今度ニナにライブチケットを渡しておくよ」
「ありがとう、見に行くよ」
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