第302話 ピクニック 魔眼
自分達はキャンプ場にて遅めのランチをしていた。
ランチのメイン料理はニナさんが頑張って作ってくれたという大量のサンドイッチだ。
中の具は前世でも定番のものが多くて、野菜などの種類は違うが、世界が違っても考える事は似ているのだなと思った。
そう言えば、過去に転生者が居たとしたらサンドイッチの種類も元は地球産なのかもしれないな。
「それにしてもこの量は食べきれるのか? 明らかに10人前以上はあるだろう?」
「えっと、私が持ってきたのはサンドイッチだけで、揚げ物とか飲み物はレイくんが持って来てくれたもので、まさか他の料理を用意してくれてると思わなかったので作りすぎちゃったかもしれないです。」
カノー先生の質問に申し訳なさそうにニナさんが説明していた。
「カノー先生、僕が予定にない料理を用意してしまったのがいけないんです。 あと数日なら保存しておくことが可能な【魔道具】があるので残しても大丈夫です。」
「食料を保存する【魔道具】は高額な上に大きいと聞いていたが、そんな【魔道具】を持ってきていたか?」
カノー先生はきっと簡易冷蔵庫の【魔道具】を想像してるんだろう。
確かに簡易冷蔵庫は20キロ位の重量があり、容量も大して入らないものだが、常時冷却するには大量の【魔力】を消費したりとデメリットばかりが目立つ欠陥【魔道具】である。
前世の科学技術を応用すれば効率的な電気を使った【魔道具】は開発可能だとは思うが、禁忌に触れるので高価な氷の【魔石】を使うしかないのだ。
学校の図書館でいろいろ調べたら、【聖教会】は高度な科学技術に繋がるであろう技術はほとんどが禁忌指定されていた。
「ちなみにこれです。」
「ずいぶんと小さいな。」
「でも【聖教会】の遠征で使用されていたものより小さい上に、中は広いですね。」
そして、自分の使うものは軽いただのクーラーボックスに偽装【虹魔石】を搭載したもので、自分かセシリアしか使用出来ないものになっていた。
「しかも、中はひんやりとしているな。 これはどこで買えるのだ?」
「詳細は言えないですけど、これは僕のスキルを使用しているので非売品です。」
「……そうか、それは残念だ。 確認したいのだが、レイくんのそのスキルは【魔眼】によるものなのか?」
「【魔眼】ではないですよ。」
「【魔眼使い】ではないのか?」
「数年前の事故による負傷の後遺症で【魔眼】はほとんど使えなくなってます。」
「なるほど……。」
カノー先生は自分が【魔眼使い】だと確信していたのだろう。
何故こんな嘘をカノー先生にするかというと、自分が【魔眼協会】にお世話になり始めた時にフレイザードさんから忠告を受けていたのだ。
『特殊な【魔眼】は【聖教会】の監視対象になるのじゃ。 理由は分からないが過去に何人か連れていかれたという報告も受けているから、レイくんが【聖教会】関係者から【魔眼】について聞かれたら、事故により【魔眼】がほとんど使えなくなったと言うことをお薦めするのじゃ。』
カノー先生も見習いではあるが【聖教会】の関係者だから【魔眼】については正直に話さないようにすることにした。
コーデリアやブラットは自分の【魔眼】についてはほとんど知らないから、自分とセシリアが隠せば調べようがないだろう。
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