第300話 ピクニック ニナ ②

【ニナ視点になります。】



 森の探索を始めてから1時間位が経過していた。


「果物や野菜がいっぱい取れましたね!」


「うん。 まさかこんなに取れるとは思わなかったわ。」


「これもコーデリアさんが周辺の探索をしてくれたからですね。」


「そうだね。 あの水の球は凄い便利ですよね。」


 コーデリアさんは周辺に魔獣がいないかの探索をしてくれるついでに食材になる野菜などの場所も教えてくれたのだ。


 探索時間も1時間程度で短いから、本来ならブラットくん達がとってくれているであろう魚の付け合わせ程度の野菜が取れたらラッキーかなと思っていたけど、既に数日は飢えに困らないレベルの食材を確保出来ていた。


「流石は冒険者になりたいだけあるわね~、私達だけならこうはいかないわ。」


「私はたまたま森と相性が良いだけですよ。 それに食材に限れば私は探すのが結構得意なんですよ。」


「食材限定? スキル的な何か?」


「食材限定って訳ではないですけど、何故か食材の場所を教えてくれるというか、探してくれるみたいな感じですね。」


「それって面白いスキルですね!」


 学校にも探索系のスキル持ちは何人か居るから、コーデリアさんも似たような探索系スキルを持っているんだろう。


「そろそろ時間だから戻ろっか。」


「そうだね。 レイくん達がテントを作ってくれている筈だしね。」


「そう言えばコーデリアさんは【魔力】とか大丈夫?」


「あっ、そうだね! コーデリアさんが普通にしていたから気付かなかったけど、あの水の球で1時間も探索してたんだもんね。」


 大人の人なら大丈夫かもしれないけど、私達と同世代のコーデリアさんには【魔力】量が厳しいんじゃないかな?


「私、【魔力】を回復させるレアスキルを使えるから、回復してあげるね!」


 ハーミットは【魔力】を回復させられるレアスキル【魔力チャージ】を使えるのでコーデリアさんの肩に手を触れる。


「私は大丈夫ですよ?」


「えっ……、そ、そんな。」


「どうしたの、ハーミット?」


 ハーミットはコーデリアさんの肩に触れた途端にびっくりしていた。


「それが、コーデリアさんは【魔力】を全く消費してないんだよ!」


 そう言えばハーミットは相手の【魔力】量も分かるんだった。


「それって【魔力】自然回復量が凄いって事?」


「違うよ! 今でも水の球を出してるから【魔力】が多少は揺れる筈なのに全く揺れてないんだよ。」


「つまり、どういうこと?」


「多分、コーデリアさんの使っていた水の球は【魔力】を消費しない……」


「えっ、そうなの?」


 あんなに便利なスキルなのに……


「そうですね。 私の【精霊魔法】は【魔力】を使いません。」


「【精霊魔法】? どこかで聞いたことあるような……」


「【精霊魔法】とは初代【聖女】が使用されたと言われるものです。 まさか実際に使える人がいるとは……」


 カノー先生がびっくりしながらも【精霊魔法】について教えてくれた。


「ああ! 初代【聖女】の使っていたって【魔法】!!」


「コーデリアさん凄いじゃん!」


「私はまだ【精霊魔法】を使いこなせてませんし、レイに比べたら全然凄くないですよ……」


「そうなの?」


 あれだけ凄いコーデリアさんが凄いって言うレイくんはどれだけ凄いのだろうか?


 確かにブラットくんとレイくんは凄かったけど、伝説的な【魔法】である【精霊魔法】を使える方が凄いと思ってしまう。


「コーデリアさん、もしあなたが良ければ【マリア学園】に編入しませんか? 【精霊魔法】を使えるアナタなら、もしかしたら【聖女】候補序列1位になれるかもしれません。」


 カノー先生は【精霊魔法】を使えるコーデリアさんに【マリア学園】の編入を薦めていた。


「いえ、私は……」


「それに【マリア学園】には【精霊魔法】の文献などもあるので独学で学ぶよりも【マリア学園】で【精霊魔法】を勉強すればレイくんさえも超える強さを手に入れられるかもしれませんよ?」


「私がレイ並に強く……?」


 確かに初代【聖女】の使っていた【精霊魔法】を使えるなら、次期【聖女】になれるかもしれないという【聖女】候補序列1位もあり得るかもしれないと思った。


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