第299話 ピクニック ニナ
【ニナ視点になります。】
私達はコーデリアさんと共に山菜や果物取りに来ていたのだけど、予想外の出来事に遭遇していました。
「この大量な魔獣の死体はいったい……」
森に入って少し歩いていたら、魔犬の死体が山積みにされている現場に遭遇したのです。
「カノー先生、どうしましょうか?」
「ざっと見て20匹分の死体がありますね……これだけの数の魔犬がいたのも問題ですが、これを倒した山積みにした生物も危険です。」
「私達以外の誰かが倒してくれたんじゃないですか? 魔犬を山積みにしているところから考えて人以外はないと思うんですが。」
仮に魔獣が魔犬を狩ったなら、山積みにしないで死体が散乱している筈です。
カノー先生は魔犬の山になっている死体を一体一体丁寧に調べていく。
「いえ、人の可能性は低いですね。魔犬の外傷は首元にある噛みつき痕だけですし、噛みつきの大きさからみて小動物みたいですが……魔犬をこんなあっさりと噛みつくだけで殺せる小動物は聞いたことありません。しかも死体からは血が流れていないのも奇妙ですね……」
「確かに首元以外に外傷はなさそうだね……もしかして吸血コウモリ?」
「確かに可能性はゼロでは無いですが、吸血コウモリが首筋だけを的確に噛みつくのかという疑問や他にも分からない事がいくつか……」
「……とりあえず、警戒しながら進んでいきましょう。」
「分かりました。」
「それでしたら私が広範囲の探索をしてみますね。」
ここでコーデリアさんが探索の手伝いをしてくれると提案してくれました。
「コーデリアさんもレイくんみたいな探索ができるのですか?」
レイくんとブラットくんの実力は相当なものだと思ったけど、レイくんのパーティーメンバーのコーデリアさんも凄い実力者なのかもしれないですね。
「私はレイみたいに探索兼討伐みたいな事は出来ないです。 出来るのはあくまで探索のみです。」
そう言うとコーデリアさんは、祈りをするかのように手を握り、目をつぶるとコーデリアさんの周囲には大量な水の球が出現していた。
「す、凄い……。」
カノー先生はコーデリアさんの【魔法】を見てびっくりしていた。
まあ、びっくりしたのは私達も同じで、【聖女】候補生は支援系特化の人ばかり集団なので学校には水属性の人はかなりいますが、コーデリアさんほど大量な水の球を一瞬で作る人は初めて見ました。
「私なんてレイやセシリアさんに比べたらまだまだですよ。レイやセシリアさんなら一瞬で私より凄い事が出来ます」
「そうなんですか? 数だけで言ったらコーデリアさんの方が多くないですか?」
レイくんの球は20個位だったのに対してコーデリアさんの水の球は50個以上あると思う。
「レイは無属性を自在に操っているので目に見えてるものはほんの一部だと思いますよ。」
コーデリアさんはそう言いながら水の球を操っているのか、水の球が一斉に四方へ飛んでいった。
「え、冒険者学校では無属性を操るなんて出来るのですか?」
私はあまり戦闘系の技術に関しては分からないけど、学校で無属性を使いこなしている人は聞いたことがない。
というより無属性って初期スキルを取得するための無意味な属性って意味だと思っていた……
「【ハンタースクール】でも無属性を自在に使うのはレイしか見たこと無いけど、それに近い人なら教師にいますね。」
「へ~、【ハンタースクール】って凄いんですね。」
流石は戦闘系の学校なのかな?
私達では習わない未知の戦闘技術とかあるのかも。
「コーデリアさん……、レイくんは【魔眼使い】なのですか? 見た目では【魔眼】を所有している様には見えませんが?」
カノー先生はいつも真面目な表情だけど、更に真剣な感じでコーデリアさんに質問していた。
【魔眼使い】ってあまり生存率が高くない禁忌のスキル保有者って授業でやっていたからかもしれない。
「それはレイに直接聞いてみてください。」
「そうですね。 あとで聞いてみます。」
「カノー先生、レイくんが【魔眼使い】だと何かあるのですか?」
「……まだ1年生ですから【魔眼】について詳しく習っていないのでしたね。」
「はい。ざっとした内容しか分からないです。」
「【魔眼】についての詳細は私にも分かりませんが、【聖教会】の業務に【魔眼使い】を発見したら上に報告する義務があるのです。」
「え、それって【聖教会】に連行されたり……?」
「いえ、【聖教会】の方で【魔眼】の種類を確認するだけと聞いています。」
「そうなんですね。」
ブラットくんの友達のレイくんが【聖教会】に連行されたらどうしようと思ったけど、きっと調査して【魔眼使い】の保護とかをしてくれるのかもしれないと思った。
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