第298話 ピクニック テント?

 自分とセシリアはみんなと別れて木を伐るべく、森に来ていた。


「セシリア、あそこにある木を50本程伐っといてくれるかな? 僕は使えるように加工するよ。」


 ちょうど良さそうな真っ直ぐな加工し易そうな木が沢山生えているのでラッキーかもしれない。


「マスター、流石にテント用に50本は伐り過ぎではないですか?」


 あれ?


 セシリアは僕がテントを作ると思っていたのかな?


「いや、僕が作るのはテントではなく簡易的なログハウスだから大量に伐っても大丈夫だよ。」


「なるほど、マスターの得意分野で攻めるのですね。」


「うん。 部屋割りなどしないログハウスなら【魔導球】を使えば簡単に作れるからね。」


【魔導球】は何も武器や偵察用だけに使えるわけではなく、球の周りを四角にした【魔導】で覆い高速回転をさせると簡単に木が削れたりするのだ。


「マスター、わざわざ【魔導球】で加工しなくても【魔導工房】を使えば早いのでは?」


「いや、【魔導工房】を使うと簡易ログハウスではなくてガチなログハウスになっちゃうから多少は手作り感を出したり、加工した木くずをある程度は残しておこうかなと思ってね。」


【魔導工房】は生産系スキルの中ではかなりチートスキルだと自覚しているので、こういう場面では自重して使わない事にしているのだ。


「なるほど、流石はマスターですね、自重するのが巧くなってきましたね」


「そうでしょ? ならサクッとログハウスを作っちゃおうか」


「分かりました」


 そして、セシリアは【魔導剣】を使って木をスパスパと斬っていき、丸太を量産してくれた。


 やっぱり切れ味の良い【魔導剣】はこういう時に便利だなと思うけど……やっぱりセシリアが凄いのかな?


 あの【魔導剣】は【魔導】を流せば切れ味が各段に上がる抜群の剣なのだが、たぶん自分が全力で斬っても木を破壊する事は出来ても綺麗に斬る事は出来ないだろう。


 そう考えるとセシリアの剣技はかなりのレベルになっているのだろうか?


 セシリアが剣や銃、体術など自分の知識を参考に訓練しているのは知っているけど、どこまでのレベルかは把握していなかった。


 ペンザエモンさんクラスならセシリアの強さも分かるのだろうが、自分が分かるのは【魔導操作】とかそんなものである。


「マスター、丸太が出来ました。」


「了解、なら早速加工しちゃおうか。」


 自分は大量の【魔導腕】を発動して全丸太を一定方向に並べ、空中で固定する。長い丸太が空中で整列している状況は奇妙だけど圧巻だな……


 それから【魔導球】を使い、表面の皮だけ削る面と平らに削る面を考えながら一気に削ってしまう。


 後は両サイドを交互に積み上げられるように切り込みをいれていく。


 そうすれば、あとは床になる板と屋根用の丸太を用意すれば加工は終わりだ。


「あとは現地で組み立てれば終わりかな。」


「本当に簡素なログハウスにするのですね、もっと部屋割りやギミックを入れるのかと思っていました」


「そりゃあ1日泊まるだけだから最低限が良いんだよ、やり過ぎてもみんなに引かれるだけだしね。」


「それもそうですね」


 こうして必要なものを作ったあと、現地に戻って簡易ログハウスを下から組み上げていき、1時間もかからず完成するのだった。


 まあ、テーブルと椅子、寝袋とクッション位はサービスで【ストレージ】から出して置いといた。


「もう少ししたらお昼ご飯の時間になるけど、ニナさんお手製のサンドイッチが楽しみだね。」


「サンドイッチだけでお昼ご飯は足りるでしょうか?」


「あ~、ブラットとか結構食べるもんね。僕達の方からも何かプラスで出しておこうか。」


「そうですね、夜は魚とカレーになるでしょうから、それ以外が良いと思います。」


「ならおにぎりとかを出しておくか。確かツナ……これは魚か。 味噌焼きおにぎりと自家製梅干しを使ったおにぎりを出しておくか。」


【チェスガン】の市場で梅に似た実を発見したので、梅干しと梅酒を作っているのだ。


 若干味は違うが、はちみつ梅干しみたいな甘酸っぱい感じの仕上がりになっていた。


 梅酒はまだ子供だから味見をしていないが、梅干しがかなりうまくいってるから大丈夫だろうと思う。


 大人になった時には良い感じの熟成具合になっているだろう……。


 心配な点は、前世で梅干しはあまり作らなかったが梅酒は大量に作っていたから【素材の極み】が暴走していなければ良いんだけどな……


 ついでに【ストレージ】内にある唐揚げと肉団子揚げも出しておくか。


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