第292話 白銀二刀流 ②
自分が【魔装】の指導をペンザエモンさんから受けていたら、【魔眼協会】の人がペンザエモンさんを呼びにきた。
「ペンザエモンさん、そろそろ夜間見回りの時間ですので、よろしくお願いします。」
「おお、もうそんな時間でござるか。それではレイ殿、今日は解散にするでござるな。」
「ペンザエモンさんは夜間見回りなんてしてるんですか?」
【魔眼協会】は広大な地下施設になっているから不審者が入らないように夜間見回りをしているのかな?
だけど【魔眼協会】に行くには上の雑貨屋経由で行かないとダメなので、やっぱり見回りは必要じゃないのかなとか考えていた。
「ちょうど良い機会でござる、レイ殿も夜間見回りに同行しないでござるか?」
「えっ? 僕も付いていって良いんですか?」
「何かあったときに我が輩の指示通りに動ければ大丈夫でござるよ。」
「戦闘になるんですか?」
ペンザエモンさんの話し方だと戦闘になるのが前提みたいな感じだなと思えた。
「戦闘になる可能性は高いでござるが、基本的にはレイ殿達には戦わせないでござるよ。」
「……なら見まわりを見てみたいのでお願いします。」
☆
自分とセシリアはペンザエモンさんの夜間見回りに付いてきたのだが、【スカウトフォート】の街中を歩いていた。
「ペンザエモンさん、夜間見回りって街中を見て回るんですね。」
「そうでござるよ? レイ殿は何処を見回ると思っていたでござるか?」
「えっと、地下施設内の見回りとか……」
「【魔眼協会】の内部に侵入者がいたら緊急事態でござるな。まあ【魔眼協会】には初見殺しの【魔眼】を持った者もいるので安心でござる。」
「なんだか凄そうですね、初見殺しの【魔眼】。そう言えばこの見回りはペンザエモンさん達が街から警備の依頼を受けていたりする訳じゃないですよね?」
確か冒険者の仕事に、街の警備をするというのがあった気がするけど、ペンザエモンさん達がやるとは思えないので、他に理由があるのだろう。
「違うでござる。我が輩達が街を見回りしているのは未発見の【魔眼使い】を発見して、危険な状態なら保護したり相談にのったりしてるでござる。」
「それってかなり大変じゃないですか?」
【スカウトフォート】はかなり広い街だし、【魔眼使い】でも眼を隠していたら分からないのでは無いだろうか?
「レイ殿は【魔導具】を自作しているみたいでござるが、【魔眼協会】にも数多くの【魔導具】があって、我が輩は【ミラージュフォーム】と【マジックレーダー】を使用しているでござる。」
ペンザエモンさんの話では【ミラージュフォーム】は姿を好きな形に見せることの出来るもので、ペンザエモンさんは人型の剣士に偽装しているらしい。
これは自分が使う変装用の【魔導具】と効果は同じではあるが、自分のは人の容姿を変えるのみだったのに対して【ミラージュフォーム】はペンギンを人型に変えているので、自分の【魔導具】の上位版かなと思う。
【マジックレーダー】は登録した【魔力】関係のパターンに類似するものが周囲にあれば反応するレーダーらしく、今は【魔眼】に反応する様に設定されているらしい。
ペンザエモンさんが自分を発見したのも、これのおかげらしい。
なんとも便利な【魔導具】だなとも思うが、いろいろ欠点があり使いどころは難しいらしい。
一番の欠点は探したいものと類似するものを所有している者しか使えない点である。
例えば【魔眼】を探したければ【魔眼使い】が手にとって発動しなくてはいけないとか、【光属性】の人を探したなら【光属性】の人が発動しなくてはいけないのだ。
「そう言えば【魔導具】があるんですね……」
自分も【チェスガン】に居たときには【魔導具】についていろいろ調べたが、【魔導王】が作ったとされる情報位しかなくて現物は存在がハッキリしないレベルの位置づけだった。
「【魔導具】は一般人が基本は使えないものでござるが、一部ではあるが我が輩達【魔眼使い】が使えたりする危険な【魔導具】もあるので、【魔眼協会】はそれらの魔導具全てを外部に漏れないように管理しているでござる。」
「外部に漏れたくないならペンザエモンさんも持ち出さない方が良いんじゃないですか?」
「それは正しい考えでござるが……」
話の途中だったが、ペンザエモンさんの雰囲気が一気に険しくなっていた。
「どうしたんですか?」
「最近になって街で怪しい強化薬をばら撒いている者を発見したでござる。」
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