第287話 テレーザ ④
【テレーザ視点】
私はレイ様やセシリアさんの【魔力】を見たときとは別の意味で、コーデリアさんやシンシアさんの【魔力】を見てビックリした。
レイ様やセシリアさんの場合は単純な膨大な【魔力】を感じたけど、コーデリアさんやシンシアさんの場合は【聖人】様や【魔王】様などが扱う神の力を多少だけど感じたからだ。
【スカウトフォート】にも【聖女】マリア様の後継者を育成する学校はあるけど、【聖人】になるには能力値だけではなくほとんどは生まれ持った才能が影響する事が多いと聞いたことがあった。
私が【天翔翼】の習得する場面に、ちょうど視察に来ていた【聖人】様がいたので、【天翔眼】により神の力を目の前で見たから私には分かった。
だけど、コーデリアさんやシンシアさんみたいに才能があるだろう人材を、エルフ族の里が外部に出すのだろうか?という疑問もあった。
レイ様の事を慕っている感じだからなにも言わなかったけど、何かを隠してるんじゃないかと思った。
☆
初登校は順調に終わり、クラスメイトのみんながレイ様を頼っているのをみて、私も嬉しくなっていた。
やっぱりレイ様は本人の強さだけでなく、他人を指導したりするのが得意なのだなと思った。
そして、放課後になり私はエレナとブラットさんと共に学校の闘技場にきていた。
「パーティーメンバーになるには、私は何をすれば良いですか?」
「私としてはテレーザなら何もしなくても加入で良いにゃけど、あとはブラット次第かにゃ。」
「俺に丸投げなのかよ……ってか昔に会ったことあるみたいだけど、覚えてなくて悪いな。」
「いえ、私もほとんどレイさんやエレナ以外は覚えていないので、ちょっとしか会ってないかもしれないです。」
「そうだったのか。 加入の件はエレナが納得しているなら、俺からは否定する事はないけど、テレーザさんの実力はみたい。」
「そうですね。 私もブラットさんの実力が知りたいです。」
レイ様が天才だと言っていた実力を体験したいのでちょうど良いです。
「話が早くて助かるぜ。 武器や【魔法】は何でも有りにするか?」
「私は一切の武器を使わないですし、自己強化しかしないのでお任せします。」
「武器を使わないって大丈夫か? 俺は大剣を使うつもりなんだが……」
「それも大丈夫ですよ。」
私の見た目は体格が細いのもあって、武器を使うのを躊躇う人がほとんどだけど、いつもそれは最初だけなのよね。
ブラットさんは身長位の長さがある大剣を4本用意していて、2本は地面に刺してあり、もう2本は右手と腰に持っていた。
いくら木製の大剣だと言っても1本がかなりの重量がある筈なのに、軽々と振り回しているのを見て、凄い力だなと思った。
「準備が出来たらいつでも良いですよ。」
「本当に大丈夫か?」
「はい、全力で来て下さい私は防御力には自信がありますから大丈夫です。」
そして、私は【天翔翼】の中で【天翔眼】【天翔硬】を発動させる。
「ブラット、テレーザを舐めてると瞬殺されるにゃよ? 全力を出した方が良いにゃ。」
「分かった。なら最初から全力でいくぜ。」
エレナにも実力を見せたこと無いのに、あたかも私の強さを知ってるかのような口振りでブラットさんに忠告する。
エレナの忠告により、最初は私の強さに疑心暗鬼だったブラットさんも本気になってくれたのか、纏う気配が変わってきた。
ブラットさんの構えは我流なのか、自由な印象を受ける。
「テレーザさんの構えは変わってるな。」
「私の流派は帝国発祥の古武術という特殊な格闘術ですから、こちらでは使う人も少ないかもしれませんね。」
「それは楽しみだなっ!」
ブラットさんは大剣を肩の位置に構えながら走ってくる。
スピードは素晴らしいけど、動きが直線過ぎて私の【天翔眼】の前では簡単に動きを読むことが出来た。
【天翔眼】は【魔力】の動きも数秒先なら分かるので、多少は予測になるが攻撃される場所に手を置いておけば良いのだ。
ブラットさんの上段からの一撃を、私は【天翔硬】により硬化した左手で受け止め、ブラットさんの懐に入り、腹に硬化した右拳で一発いれる。
「ぐはっ……」
「私の強さは分かりましたか?」
「ああ、だがもうちょっとやろうぜ。」
……ブラットさんはカーラさんみたいな戦闘狂だったのですね。
その後、私は何戦も闘わされる事になったのだった。
【ステータス】
名前・テレーザ(10歳)
状態・良好
属性・光
職種・武闘家
種族・人族
パッシブ・天使の因子、闘技
アクティブ・魔力操作、魔力解放
天翔硬、天翔眼、天翔斬
???、???
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