第286話 テレーザ ③
【テレーザ視点】
久しぶりにレイ様に会うことが出来て嬉しかった。
レイ様と話していると大人の人と話している雰囲気にさせる不思議な男の子で私にとっては師匠であり初恋の相手でもあった。
本当ならもっと早くにレイ様と再会したかったのだけど、私の家系は王族の中でも特殊で、守りに特化したスキル【天翔翼】に適正を得やすい事もあり、10歳までは独自の特訓が必要なので【チェスガン】に行くことは出来なかった。
私には2歳年上の兄がいて小さい時は神童と呼ばれていたから、私の計画では兄が【天翔翼】を継承し、私は自由にレイ様と共に【チェスガン学園】に通う予定だったのに予定は大きく狂ってしまっていた……
神童と呼ばれた兄には思ったほど【天翔翼】の適正はなく、逆に小さい時は無能と呼ばれていた私に【天翔翼】の適正が凄く高かったのだから不思議なものだった。
「今の私があるのは全てレイ様のおかげよね……。」
無能と呼ばれながらずっと才能の無い分野を努力していたら、無能のままだったのではないかと思う。
「明日から恋のライバルかもしれないエレナとも闘わないとダメなのよね。」
3歳の時の事ははっきりとは覚えてないけど、レイ様とエレナが凄く仲良かったのは覚えている。
あれからレイ様とエレナがどうなったかは分からないし、ふたりが同じパーティーでないのは不思議だけど、一緒の学校に通っているという事は仲が悪い訳ではないだろう。
「そういえば、レイ様のパーティーメンバーの話を聞くのを忘れてましたね。」
カーラさんに聞いても、直接聞けばいいだろうと答えてくれなかったのよね。
☆
私はレイ様と護衛兼同級生のセシリアさんと共に学校へ登校していた。
セシリアさんが同級生と聞いた時は、見た目は同じ年齢には見えなかったからビックリしたけど、もっとビックリしたのはセシリアさんの纏う【魔力】がレイ様と同じく異常だった事だ。
レイ様にはまだ話していないけど、【天翔翼】というスキルを取得した事で、レイ様の【魔眼】程の性能はないけど固有スキル【天翔眼】という特殊な眼を取得したのだ。
この【天翔眼】は人や物に宿る【魔力】を見ることの出来る能力で、相手の簡単な強さや【魔力】の流れを読んで数秒先に相手がなにをするかを予測する事が出来ていた。
【天翔眼】を取得してから王都内にいる数多くの人の【魔力】を見たけど、レイ様やセシリアさんみたいな【魔力】を見たのは初めてだった。
私がレイ様と学校へ登校すると校門の前に小さい女の子が2人居て、レイ様を待っていたかの様に近寄って来た。
レイ様のファンかしら?
「レイ、その女性は誰ですか?」
「とても、知りたい……」
「ああ、紹介するよ。テレーザさんと言ってカーラ先生の親戚なんだけど、僕やエレナとも小さいときに会ってる人なんだ、今日から2人と同級生になるからよろしくね。」
「初めまして、テレーザです。今日から同級生なのでよろしくね。」
「初めまして、私はレイのパーティーメンバーでコーデリアです。」
「同じく、パーティーの、シンシア。」
こんな小さな女の子がレイ様のパーティーメンバー?
あっ、同じ年齢だという事はもしかしてエルフ族という事かしら?
それなら見た目が小さな女の子でも納得はするけど……
「確認ですが、2人はエルフ族なんですよね?」
「はい、そうですよ。」
「エルフ族が学校に通うために里から出てくるのは珍しいですね。通常は里からでられるのは成人後と聞いたことがありましたが、2人は特例なんですかね?」
「テレーザさんはよく知ってますね。私とシンシアは特別に里の外で生活する許可を族長からもらってるのですよ。」
「そうだったんですね。ではこれから良かったら仲良くして下さい。」
レイ様とセシリアさんの【魔力】が特殊なタイプでビックリしたけど、まさかレイ様のパーティーメンバーの2人も特殊な【魔力】を持っていたと分かったら更にビックリしました。
そして、私のライバルとなりそうな女性が増えている事が分かり、更にびっくりしてしまった。
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