第285話 テレーザ ②

 自分はカーラ先生、テレーザさんと共に唐揚げ盛りを食べながら話を続ける事になった。


 またいつもの様に唐揚げやご飯に感動してバクバクと食べたりもした。


 その中で昔の話になったので、自分からは特に話さずテレーザさんの話を聞く事で、自分とテレーザさんの出会いがどんな感じだったのかが分かってきた。


 貴族であるテレーザさんが何故かは良く分からないが、自分から【魔法】のアドレスをもらう為に数週間だけ【モロット】に来ていたらしい。そして自分と共に【魔法】の練習をしたのだが、結果として才能が無いという事がはっきりして、普通なら落ち込むのだろうが、テレーザさんはポジティブに考えて【魔法】の才能が無いなら別の才能を探そうとシフトしたらしい。


「レイさんのおかげで私は早めに自分の得意分野に気が付けたので感謝してます。」


「テレーザさんの得意分野って何なの?」


「格闘技です。」


「格闘技? 格闘技をする様には見えないけど……」


 カーラ先生みたいな筋肉質な体型なら格闘技に得意なのは分かるけど、テレーザさんはエレナみたいに細長い手足をしている可愛らしい感じの女の子だから格闘技を得意分野にしている様には見えなかった。


「そしたら是非今度レイさんに私の成長した姿を見せますね!」


「レイ、私が言うのと身内贔屓に聞こえるかもしれないが、テレーザは強いぞ。初見では大人の冒険者でも負けるやつがいるくらいだからな。」


「へえっ、それは見るのが楽しみですね……僕も負けないように頑張らないと。」


 未だに新しいスキルとかを使いこなせていないから、ペンザエモンさんなどに一度相談したいんだよな。


「……レイが頑張ると聞くと不安という感情しか浮かばないんだが、大丈夫だよな?」


「大丈夫ですよ。あの黒い鎧も声を出せないとかいろいろありますけど、しばらく練習したら慣れると思います。」


「あの黒い鎧は強かったな……っていろいろあるって大丈夫じゃないだろ。」


「レイさんの黒い鎧って何ですか? 凄く興味があります!」


「あれはまだ不安定だから、使いこなせてきたら見せるよ。」


「楽しみにしてますね。」


「そういえばテレーザさんはどこの学校に通ってるんですか?」


「一応は休学扱いになってますけど、レイさんと同じ学校ですよ。」


「えっ? そうなの?」


 まさかの同級生なのか。


「あとテレーザも今日からうちの屋敷に住むからな」


「テレーザさんもここに?」


「ああ、レイと一緒でテレーザにも護衛が必要なんだが、なかなか優秀の人材をすぐこっちに回せないらしくて、マギリにふたりを一緒に護衛してもらうことになったんだ、だから校内以外は当分の間、基本的にはレイとテレーザは一緒に行動しろよ?」


「分かりました、でもたまに自分とセシリアだけで行動したい時もあるんですが……」


「その時はマギリに言えば大丈夫だ。その代わりしっかりと用心しろよ」


「はい」


【魔眼協会】に行くときなどがあるから、その時はマギリさんに行動を把握されたくなかった。


「レイくん、明日からよろしくお願いしますね。」


「うん、よろしくね」


「ちなみにテレーザはレイ達と同じクラスだからな。パーティー編成は予定だと人数的にはエレナのところだな。事前に2人にはメンバーが追加されるとは伝えてある。」


「それでエレナは知っていたのか……」


 それでエレナがテレーザさんの件を聞いてきたりしてきたのか。


 しかし、パーティーメンバーって簡単に追加出来るものでもない気がするんだけど……。


「私は1人でも大丈夫だったのですが、エレナが加入しても問題ないって言ってくれたみたいです。最終的には明日にもう1人のパーティーメンバーと話して決めたいと思ってます。」


「ああ、もう1人のパーティーメンバーはブラットだからテレーザさんも会ってるんじゃない?」


「ブラットさん?」


「うん、僕の幼なじみで【モロット】出身なんだけど、あまり会ってないのかな」


「ブラットさんは覚えてはいないですね……ほとんどレイさんとエレナの事しか覚えていないので。」


 3歳の時の事だしそれもそうかと思う。そもそも、3歳時の記憶のはっきりと覚えている事自体が凄い気はする。


「まあ、仕方ないよ。ブラットはあまり細かい事を気にはしない性格だからきっと大丈夫だと思うよ。 戦闘面でも僕より才能があるからね。」


「レイさんより才能がある同級生なんているんですか?」


「いや、割といっぱいいるよ。ブラットもそうだけど、エレナなんて勝てる気すらしないからね。」


「エレナもそんなに強いんですか……?」


「エレナに関しては私も正確に実力が未だに分からないが、エレナもブラットも親はレイに負けない位の大物だからな。 私レベルではそのうち抜かされるかもな。」


「カーラさんがそこまで生徒を褒めるなんて、相当ですね。 兄の事すら褒めなかったのに。」


「ああ、テレーザの兄は凄かったが今年の生徒に比べたら常識レベルの強さだな。 逆に今年がおかしいって事だな。」


 やっぱり今年の同級生は凄いのか。

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