第281話 ふたりの悩み
ダンジョン攻略19層は成功したけれど、コーデリアとシンシアの2人だけで突破する事は出来ず、最後は自分が【魔導球】に【魔導剣】を付与し高速回転させる事で物理防御力の低い生き物ならスパスパ斬ってしまう新技を使い、あっさりと倒してしまった。
「2人とも、19層は1年生で突破してるのはエレナ達だけなんだし、落ち込まなくても大丈夫だよ。」
「ありがとうございます。でも私達はレイの足を引っ張っているのを痛感してしまって……」
「私達、居なくても、リザードマン、余裕だった……」
まだ同級生達のほとんどは10層で苦戦しているパーティーばっかりらしいから、19層のボスを2人だけで挑むのは元々難しかったと説明しても、自分はもちろんエレナやブラットも実際には単独で19層を攻略出来てしまうので、あまり説得力が無いのが分かっていた……というかパーティーは助け合いだし、自分とコーデリア達では出会った時の強さが違うから、今はまだ足を引っ張っていても、今はまだ学生だし将来的には頼れるパーティーメンバーになっていれば良いかなと考えているけど、精神年齢が10歳の2人に説明しても分かってもらえなさそうなんだから困っていた。
どうしたものかな……
☆
「うにゃ? コーデリアとシンシアの相談にゃ?」
「うん、2人は僕の足を引っ張っていると思っているみたいなんだけど、2人には今のままでも良いよと伝える方法がないかなと思って。」
「それは難しい相談にゃね~。」
自分やセシリアに10歳の乙女心を理解するのは難しいと思い、エレナに相談していた。
何だかんだでエレナは女子力も高いし、頭も良いから良いアイディアを出してくれるかもしれないと思い、相談する事にしたのだ。
「そこを何とか……、美味しい新作お菓子を食べさせてあげるからさ。」
「新作にゃ!?」
エレナの耳がピンっと伸びた。
これは釣れる!
「うん、まだ世界にも無いかもしれない、ふわっとろっ食感のお菓子だよ。」
「ふわとろ食感にゃ……? 響きだけでも美味しそうにゃ……。 分かったにゃ、成功するかはわからにゃいけど、2人と話してみるにゃよ。」
「ありがとうエレナ!」
やはり頼るべきは出来る幼なじみだな。
意気消沈しているコーデリアとシンシアの件はエレナに任せる事にしら、何か気が楽になった気がした。
「新作お菓子を楽しみにしているにゃ。」
「それは任せてよ、新セシリアショップのオープンに合わせて、ショートケーキに次ぐヒット商品を狙って試行錯誤したんだからね。」
「レイがそこまで言うなら期待もてるにゃ~。」
エレナは満面の笑みで頷き、帰ろうとしていたが、途中で何かを思い出したのか振り返って話しかけてくる。
「そう言えば、レイは私とテレーザにした約束は覚えてるかにゃ?」
「ん? テレーザ……?」
「その顔は完全に忘れてるにゃね……テレーザが可哀想にゃ……」
テレーザ、テレーザ……?
凄く聞いたことある響きの名前なんだけど、何故かモヤというか鎖で厳重に封印されたかのように思い出せない……どこで聞いたんだっけな?
「誰だっけ……何か大切な約束をした気もするけど。」
「マジかにゃ……」
エレナにしては珍しくびっくりしたかと思ったら、ショックを受けている感じだった。
「それで、その人がどうしたの?」
「近々こっちに来るにゃから、忘れていないか確認したかっただけにゃけど、完全に忘れてるにゃからどうしたものかにゃ……。」
名前からしたら女性っぽいけど、まあまあ記憶力には自信のある上に生まれた時からの記憶すらある自分が、女性の名前とか約束を完全に忘れるってそんな事あるかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます