第279話 サリウスの影
監視されてるかもしれないとカーラ先生に相談したら、何故かカーラ先生の家に泊まる事になってしまった。
「何で僕がカーラ先生の家に泊まるんですか?」
「レイはサリウスを覚えているか?」
「サリウスですか? 流石に王都からの帰り道に襲撃してきたやつですから覚えていますよ」
サリウスは【覚醒薬】の投与による肉体の強化と、【進化の腕輪】による【職種】の強制進化をやっていたヤバい感じのやつだ。
カーラ先生を付け狙っていた筈だけど、今回の監視と何か関係があるのかな?
「そうだ……今【スカウトフォート】内では【進化の腕輪】が出回っていてな。 サリウスが街の中にいるか、仲間がいるかを疑っているんだ。」
「【進化の腕輪】が出回っているなんて初耳ですよ?」
クラスメイト達ともいろいろな話をしているけど、腕輪関連の話は全く出てきていない。
みんな強くなりたい筈だから、リスクはあってもそんなチートアイテムがあれば噂くらいにはなると思う。
「だろうな、出回ってるのは【魔法具】研究関係を学んでいる【ハンドルグ】って学校でな、【ハンタースクール】の生徒とはほとんど交流がない学校だ。 しかし、レイの言う制服の特徴に一致する。」
「何で僕なんだろう? カーラ先生を監視するなら分かるけど……。」
「それは分からないが、寮だと私達が助けられないから家にきてもらった方が助かる。」
「私達? カーラ先生って1人暮らしじゃないんですか?」
「ああ、今は私の警備目的も兼ねて【王国】の騎士団が来ているんだよ。ちょうど良いから戦力を集中させた方が襲撃されたとしても安心だろう?」
「なるほど、それなら安心なのかな?」
カーラ先生には悪いが女性教師の家に泊まるのは気が引けたが騎士団の人もいるなら気兼ねなくお世話になろうかな。
「とりあえずはサリウスが捕まるか、【ハンドルグ】の生徒を捕まえるまでは私の家に居るといい。」
「分かりました、護衛役のセシリアも一緒に良いですか?」
「もちろん構わないぞ。さて、そろそろ授業が始まるから戻れよ」
「はい」
☆
今日の授業はダンジョン攻略だった。
「今日のダンジョン攻略は19層まで目指そう。」
19層までは大森林が広がっており、通常の生徒は敵の強さよりもここの広さを探索するのに苦戦するらしい。
「分かりました……とは言っても私達が出来る事はあまり無い気もしますが……」
「うん。最近は、特に、やることが、ない。」
「そうかな? 探索は【魔導球】が便利だから僕が全部やってるけど、敵を倒すのはコーデリア、シンシアに任せてるし、2人がいてくれて助かってるよ。」
2人の言うとおり、探索と敵の撃退など全てを1人でやることは出来るが、流石に数時間もそんな事をしていたら疲れてしまうし、ひとりで黙々と作業の様にダンジョン攻略していたら精神的に良くない気がする。
「そうですか? それなら嬉しいですが……そう言えば以前に話していたパン屋のニナさん達とピクニックに行く話はどうなりました?」
「来週位に行くらしいよ。こっちのメンバーは僕とブラットとコーデリアとシンシアの4人かな。」
「エレナは、来ないの?」
「そういうイベントが好きなエレナが行かないのは不思議ですね。何かあったのですか?」
「いや、ちょっと他に行きたいところがあるって言ってたから、きっと演劇とかがあるんじゃない?」
「それはありえますね。エレナは演劇が大好きですからね」
「あとは、服屋の、新作が、出たとか?」
「ああ、それもありそうだね」
まあ、今回のピクニックはブラットとニナさんがメインなので、エレナが参加しなくても平気だろうってのもあったが、小さい時から山で過酷なサバイバルをしていたエレナがキャンプに参加するとガチキャンプになりそうな懸念もあったのでちょうど良いかなと思っていた。
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