第278話 魔物使い
【副職種】に【魔物使い】を取得した夜、自分は寮内にある庭で【テイム】の練習をしていた。
出来れば変な噂にならない様に部屋の中でやるのが良いのだろうけど、流石に部屋の中で【テイム】の練習をしたら部屋が獣臭でいっぱいになるのはしんどいし、【テイム】前の動物が部屋を傷付けそうだったので仕方なく外でやっていた。
スキルとして【テイム】を取得したあとは、スモールグレーキャットの【テイム】はもの凄く簡単に終わり、216匹の【テイム】に成功していた。
そして【テイム】したスモールグレーキャットの毛色が変化しているのに気が付いた。
「あれ? 最初に【テイム】した個体の毛色が黒くなってきてる……?」
「チーチー」
灰色と黒色の中間っぽい色に変化してる気はするけど、夜の野外だから気のせいかな?
まあ、昼間に確認すれば分かる事だし毛並み位は変化するのかもしれないなと勝手に解釈して今は気にしないことにした。
とりあえずスモールグレーキャットの【テイム】が終わったから、次は【獣育成】と【獣操作】を取得したいなと思ったのだけど、やり方がサッパリ分からないのでニャルルさんにやり方を聞いておけば良かったと後悔したので、明日にでもニャルルさんに聞いてみるかな。
【獣操作】はイメージ的には【魔導操作】で【魔導剣】などを操るみたいにすれば良いのかな?
そんな時、セシリアから予想外な内容の連絡が来た……
『マスター、誰かが建物の上から私達を監視しています』
『監視? 誰かな……?』
たまに何かをやらかした時には監視されたりはあるけど、最近はやらかして……るかもしれないから、否定は出来ないけど、いったい誰だろう?
『服装は学生服を着ていますが……』
『学生服? ならうちの学校の生徒じゃない?』
【ハンタースクール】でも自分やブラット達は目立っているという自覚はあるから、多少は監視というか偵察みたいな事をされる可能性があったりする。
『暗いのではっきりはしませんが男女3人で制服が違う感じですので【ハンタースクール】の生徒ではないと思います』
『なら外の学校かな?』
自分は基本的に外の学校に通っている人との面識は無いはずなんだけどな……
知り合いがいるとしても最近知り合ったパン屋のニナさん位だし……ニナさんが監視していたらかなり怖いと思う。
それにニナさんが監視をするならブラットの事だろう。
『もう少し近ければ分かるのですが……どうしましょうか?』
『って、そんなに遠いの?』
その辺の人より遙かに視力の良いセシリアがギリギリ見えるか分からないレベルの場所から監視なんて学生に果たして可能なのだろうか?
『距離で言えば約300メートルはあります』
『300メートルって遠いな……【スカウトフォート】に売っている品質が悪かった双眼鏡じゃまず見えない距離だよね……』
以前、ダンジョン攻略で双眼鏡が使えるんじゃないかなと考えて【スカウトフォート】内にある雑貨屋を探し廻った事があったんだけど、レンズの性能が悪くてそんなに遠くは見えなかった。
……という事はなにかしらの望遠系スキルか、高性能な双眼鏡みたいなものを所持しているどこかの学校の生徒か、生徒のフリをした不審者か?
『私達が気が付いたのを察したのかは分かりませんが撤退していきますね。 今なら追えるかもしれませんが、追跡しますか?』
『いや、あまり危険な事は止めようか……』
自分でいうのもあれだけど、自分よりもハイスペックな学生がそんなにたくさんいるとは考えられないので、危険な予感がしたのでセシリアに追跡させるのは止めさせた。
これは誰に相談すれば良いのか迷うな……
学校の制服が本物ならカーラ先生に相談すれば良いし、最近になり監視が増えたのなら【魔眼協会】のペンザエモンさんに相談した方が良い気がする。
☆
翌日、自分は結局カーラ先生に相談する事にした。
「あん? レイが監視されてるだと……気のせいではないんだな……?」
「確実に自分を監視していたとは言い切れないですが、セシリアが監視しているだろうと言っていたので可能性は高いと思います」
「そうか……タイミングが良すぎるな。」
「えっ? タイミングって?」
何のタイミングだ?
「よし、今日から当分の間、レイは私の家で一緒に暮らすぞ。ちなみに拒否権は無いからな」
「……は?」
何で監視されているかもって話から、いきなりカーラ先生と一緒に暮らすって話になるんだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます