第274話 魔喰の落とし穴 ④

 【オルタナティブアーマー】の武装テストでブラットに攻撃してもらっていたのだが……


「指定した以外の攻撃はしないから私にも参加させろ。」


 どうしよう……


 カーラ先生はブラットと攻撃スタイルは似ているが、ブラットより圧倒的に強いからテストには向いているかもしれないが……


「ブラットさんの後に攻撃するなら、協力して下さいと言ってます。」


 ブラットでダメージがかなり入るなら、カーラ先生の攻撃を受けたら致命傷になりかねないから、とりあえずはブラットで様子見をしようと判断した。


「おう。 それでいいぞ。」


 それから数分間ブラットに攻撃してもらったが、特にダメージは無かった。


 この物理耐性はかなり使えるんじゃないか?


 次はカーラ先生に試してもらおう。


「それでは武器で攻撃してみて下さい。 【魔法】などは禁止にしてください、」


「やっとか、ちょっと強めの攻撃でも大丈夫そうだな!」


 ドゴンッ!


『グフッ!?』


 カーラ先生の見えないレベルの速度から繰り出された斧により攻撃は、【無慈悲な黒翼】を貫通したのか、かなりの衝撃と痛みが走った。


『ぐおおお、痛い、痛い!』


「マ、マスター! 大丈夫ですかっ!? 直ぐに【治療】します!」


「わ、悪い……。 ゴロゴロ転げているって事は、見た目は無傷だけど中身はかなり痛がってるのか?」


「はい、かなり痛がっています。」


 セシリアの【治癒】により何とか痛みは治まったので、立ち上がると黒翼の残骸が床に散らばっていた。


『な、何でカーラ先生の時だけダメージが入るんだ? しかも無傷?』


『【オルタナティブアーマー】に外傷はありません。 マスターからも外傷はありませんでした。』


『あんな痛かったのに外傷なし? 本当に斬られたみたいに痛かったよ?』


 あまりの痛さにちょっと泣きそうだった。


 よく考えたら思いっきり斬られた事は無いが、斬られたあんな感じなのかな?とイメージさせる位に痛かった。


 カーラ先生にいろいろ聞いてみたが、ブラットと同じ様に属性付与もスキルも使用していないらしく、違いは単純な威力と武器の違いだった。


 ブラットが斧を使って攻撃してくれたら違いがはっきりするのだけど、【無慈悲な黒翼】はカーラ先生の攻撃により使用不能状態になったので、数日間は【自動回復】モードに入ったので試せなくなった。



 仕方ないから次は【聖なる堕天使の左手】を試すかな。


 これは多少は性能が判明していて、属性付与した攻撃を軽減する効果があるみたいだった、多分左手にある【魔喰】の端末が影響してるんじゃないかなと思う。


 しかし、これを試すには属性付与攻撃をしてもらわなくてはいけないのだが、ブラットは属性付与攻撃が未だに苦手らしく、カーラ先生がやると多分また痛い思いをしてしまう……。


「私を忘れてないかしら? 属性付与の専門教師よ?」


 そうだった。


 属性付与のプロであるエターナル先生が同行してくれていたのだった。


「それでは属性付与した攻撃を左手側にして欲しいそうです。 最初は弱めで徐々に強くして下さいと言ってます。」


「分かったわ。 徐々に強くしていくわよ。」


 【聖なる堕天使の左手】は【パッシブ】スキル扱いなので、左手で属性付与攻撃を受ければ軽減してくれるはずだ。


「それじゃあ、まずは弱めの【ファイヤーブリット】行くわよ。」


 エターナル先生の右手が【ファイヤーブリット】を発動したら赤く変化していき、見るからにどんどんと熱そうになっていく……


 いや、これで弱めなのか?


 自分の心配をよそにエターナル先生は赤い拳で殴りかかってきたが、左腕付近に近づくと属性付与は吸収されたかのように消えていき、最終的にはただのパンチになっていた。


 このスキルもチート的な当たりだな。


 この世界で属性付与はかなり重要な位置付けだ、その属性付与を軽減出来るて言う事はかなり有利かな戦える気がする。


 でも欠点はいくつかあるみたいで、属性付与は消えても物理的な攻撃が無くなる訳でもないし、【無慈悲な黒翼】などと同時に発動する事が出来ないのだ。


 そうなると【無慈悲な黒翼】で物理攻撃を防ぐか、【聖なる堕天使の左手】で属性付与攻撃を防ぐかの二択になるのだろうか?


 しかし、そうなるとカーラ先生やブラットみたいに元々の身体能力が高い人の攻撃は防ぎようがなくなるのか?


 そもそも【オルタナティブアーマー】を装着中に【魔導壁】などが使えないのは【聖なる堕天使の左手】のせいなんじゃないのか?


 そうだとしたらかなり欠点が多い事になるな……。





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