第272話 魔喰の落とし穴 ②

 自分が寮に戻ると、寮長の人がものすごく心配してきたので不思議に思っていたら、髪色が変わったからだった。


 雷属性の金髪はレアな属性というのもあり、寮長の印象が強かったのもあるみたいだが、基本的に髪色が変わる時は死にそうな体験をするとか、仮死状態になる時が多いみたいだ。


 そんな理由なら心配されるのも仕方ないかもしれないが、明日からいちいち大丈夫だと説明するのも面倒だなと思ったのでしばらくは変装して金髪のままにしておく事にした。


 一応、コーデリアとシンシア、エレナとブラット辺りにだけ伝えておけば良いかな。



 寮の部屋に戻り、とりあえず全てのスキルの再確認を最優先でやることにした。


 もしかしたらスキル名前は変わっていなくても効果が変わっていたりするかもしれないからだ。


 というか最初に【深淵】属性を試さないとな……。


 【深淵】っていうと最近になりセシリアが同級生達に教えている【深淵魔術】などに関係があるんじゃないかと疑いたくなっていた。


 そして【深淵】属性を試していたら思い出したのだが、そもそも【深淵】って何だ?って事になっていた。


 雷属性はまだ雷のイメージが出来たから属性付与も可能だったが、【深淵】が何か分からないので、今のところ属性付与が出来なくなっていた。


 他のスキルなどに関しては、室内で使えるものだけは問題なく使えていた。


 後は、【副職種】と【魔喰】、【魔装】の効果を試す位だろうか?


『マスター、身体は大丈夫そうですか?』


『うん、大丈夫だよ。 そう言えば、【魔装】の武装に関して聞いておきたいんだけど……』


 自分はセシリアからいくつもある武装の詳細を聞いたが、半分以上が使いどころが難しい広範囲殲滅系の武装だった……。







 次の日の朝、早めに起きてブラット、セシリアと共に学校の闘技場に来ていた。


 朝だから外の広場でも良かったが、ブラットは全力で行きたいから学校の死なない闘技場を借りる事になった。


「よく朝早くに学校の闘技場を使う許可が降りたよね?」


「ん? カーラ先生に聞いたら即オーケーだったぜ。 普段からカーラ先生は朝の闘技場にいるらしいけどな。」


「やっぱり闘技場の使用にはカーラ先生が同行するんだよね?」


「まあ、そうなるだろうな。 闘技場の使用には教師の同行が必要らしいからな。」


「そっかぁ~」


 【魔装】の練習相手兼【副職種】の難易度が分かれば良いなぁとは思うが、カーラ先生が一緒だとどんなスキルの変化で深淵属性に変わったのがバレるか分からないから困るんだよな。


「しかし、何で急に朝から訓練に付き合ってくれって言ってきたんだ? 何か新しい武器の試しか?」


「この前の黒い鎧を試すのと、新しいスキルを試したかったんだよ。」


「あのヤバい鎧のテストか。 朝から試すにはヘビーだけど新しいスキルも含めて楽しそうだな。」


「相変わらずブラットは戦闘狂だね。」


「カーラ先生よりはぶっ飛んで無いけどな!」


「ブラット、私が何だって?」


「げっ、カーラ先生!?」


 突然、背後から声がしたと思ったら、カーラ先生とエターナル先生がニヤニヤしながら立っていた。


 全然背後から気配がしなかったのに……


「ブラット、レイ、学校内だとしても背後には注意しておく癖を付けておけよ。 そんなんじゃ、すぐ魔獣に殺されるからな。」


「いや、魔獣がそんな上手く気配を消しますか?」


「あら? 気配を消す魔獣は結構いるわよ。 擬態していて近くに来るまで分からない魔虫もいるし、今のうちから注意しておくのは大切よ。」


「うげっ、そんな厄介なのもいるのかよ。」


「ブラットや、レイみたいな子供のうちから強いやつは油断して、弱いけど厄介な魔獣とかにポックリやられたりするんだよ。」





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