第268話 魔喰
セシリアの【魔素圧縮吸収】で【魔眼】を吸収するのは無理だったので、自分が【魔眼結晶】を使えるか試してみる事になった。
「これが【魔眼結晶・魔喰】の腕輪じゃ。」
フレイザードさんが見せてくれた腕輪には【魔眼結晶】と呼ばれる宝石みたいなのが付いていたのだが、腕輪からいくつかのケーブルみたいなのが別の宝石をはめ込んだケースに繋がっていた。
「こっちのケースはなんですか?」
「ふむ、順をおって説明するのじゃ。 まず、本来【魔眼結晶】とは死んだ【魔眼】使いの【魔眼】を他者に託すためにあると言われており、【魔眼】を継承するには【魔眼結晶】を食べる必要があるのじゃが、これにはリスクがあるのじゃ。」
「食べるんだ……」
元々、他人の眼だった【魔眼結晶】を食べるって気持ち悪いな……
「【魔眼】を継承するリスクは、1つでも制御が難しい【魔眼】を2つにするのじゃから、制御不能になる可能性があるのじゃ。」
「そんなリスクを負う人がいるんですか?」
「さっきも言ったが、【魔眼結晶】を食べる前に何となくだが資質があるかは分かるのじゃ。 じゃが【魔喰】は本来危険な【魔眼】でな私が試すなら良いのじゃが、レイくんに何かあっては良くないので継承はさせられないのじゃ、それを解決するのがこの【魔導具】じゃ。」
フレイザードさんの話では、この【魔導具】は腕輪をはめると擬似的に魔眼を継承した事になり、【魔喰】を発動出来るらしい。
そして、本来なら【魔喰】で吸収した【魔眼】は体内に蓄積して、吸収した【魔眼】を使用出来るらしいのだが、吸収すればするほど制御が難しくなるリスクがあるらしい。
それを解決するのが腕輪に繋がっていたケースで、吸収した【魔眼】を【魔眼結晶】に変換してくれる【魔導具】みたいだ。
ちなみに、【魔眼結晶】を保管する【魔導具】もあり、全てロストテクノロジーらしい。
昔にロストテクノロジーを作り出した天才でも居たのだろうか?
「どうじゃ? 確実とは言えないのじゃが、ほぼリスクは無い筈じゃ。」
「とりあえず、資質があるかだけでも試して良いですか?」
「そうじゃな。 とりあえず資質だけ試してから考えるのもありじゃな。」
「腕輪をはめれば良いんですね。」
自分は【魔眼結晶】の、腕輪を左腕に付けてみたのだが突然脳内にスキル取得した時の様なアナウンスが流れた……
【魔眼結晶・魔喰を確認しました。】
【魔喰の吸収作業に入ります。】
えっ?
吸収作業ってなに?
【魔喰の吸収に成功しました。】
【固有スキル・魔喰を取得しました。】
ちょっ、話が違うんだけど!?
「おい! レイくん、どうしたのじゃ!?」
【魔喰の効果により個体属性・雷を吸収し、深淵に変化しました。】
【個体属性・深淵に変化した事により、一部のスキルが消失しました。】
「マスター!? 髪の色が!!」
「くっ、どういう事じゃ。 こんな事になるはずはないのじゃ……」
セシリアやフレイザードさんが心配しているのは聞こえて来るが、身体から力が抜けるような感覚にとらわれ、立っている事も出来なくなりその場に倒れてしまう。
【アーカイブより特権認証の登録済み個体と類似する個体を発見。】
【アーカイブの個体認証チェックが入ります。】
【アーカイブに認証中……】
アーカイブに認証?
【登録済み個体との適合率 89%】
【最上位特権認証の介入を確認しました。】
【特権認証の個体情報を更新します。】
【アーカイブへの接続に成功しました。 今後はアーカイブの特権認証の使用が可能になりました。】
【特権認証の接続により、固有スキル・ジョブホッパーが進化しました。】
【ジョブホッパーの二次スキルが解放されました。】
怒濤の脳内アナウンスが終わったあと、自分の意識は途切れたのだった……
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