第265話 ピクニック?

 ブラットからみんなでピクニックに行かないかと誘われたのだが……


「ニナさんはブラットと2人で行くとか言ってなかったの?」


「いや、最初はニナもそう言ってたんだが、あのパン屋の親父さんが怒りだしてな。 『娘はまだやれん!』って意味の分からない事を言ってたんだけどな、だけど複数人なら許すって事になったんだよ。」


「……なるほどね。」


 なんだかニナさんが可哀想になってきたな。


「それでニナの友達と俺の友達でピクニックに行くことになったんだよ。」


「ブラットの友達って事で僕なのか。 他のメンバーはどうするの?」


「エレナとかコーデリア達は良いんじゃないか? 向こうは【マリア学園】の友達がくるらしいぜ。」


「女の子ばかりになるのか。 ならお菓子でも作っていくかな?」


「良いんじゃないか。 昼はニナが作るらしいけどな。」


「了解、詳しい日程が分かったら教えてよ。」






 放課後、自分とセシリアはペンザエモンさんに会うために【魔眼協会】の支部を探していた。


 ペンザエモンさんからもらったカードは、【スカウトフォート】の端にある雑貨屋の特別会員ポイントカードだった。


 一瞬、ペンザエモンさんにからかわれてるのか?とも思ったが、秘密結社なのだから入り口はカモフラージュの意味を込めて雑貨屋になっているのかもしれないと思うことにした。


「マスター、ここですね……。」


「本当にここ?」


 目的地の雑貨屋は普通の一軒家にしか見えない作りで、玄関部分に『イビル・アイ』と書かれた看板が立て掛けられているだけだった。


「店名もカードに書かれている通りなので、間違えないのではないでしょうか。」


「まあ、入ってみるかな。」


 店内に入って見ると、ポーションや鞄、靴、手袋とか探検家が使いそうな道具を揃えてある雑貨屋だった。


「あら、いらっしゃい。 珍しいお客様ですね。」


「ちょっと紹介で…!?」


 店内で店員だろう人に話しかけられたのだが、見た目がびっくりする位に奇抜だった。


「ふふ、ごめんなさいね。 初めてのお客様はこの格好にびっくりしちゃうのよね。」


「はい……。」


 店員さんの格好は全身を隠すほどの黒いローブに、仮面を付けていた。


 声からしたら若い女性なのは分かるが、どんな容姿かは完全に分からなくなる格好だった。


「それで今日はどんな用件かしら? 若い【魔眼】使いさん。」


「今日の朝、ペンザエモンさんにいつでも会いに来て良いとカードを渡されたのですが……」


「あら? ペンザエモンの紹介なのね。 そしたら彼を呼ぶから待っていてくれるかしら。」




 そう言うと店員さんは奥に引っ込んだと思うと、10分ほど待たされるのだった。


「外観からして奥には一部屋程度のスペースしか無いはずだけど、なんでこんなに時間がかかるんだろ。」


「マスター、先程の女性は奥に行った直後に気配が完全に消えました。」


「えっ? 気配が消えた?」


「はい。 何か【魔導具】らしきものを使ったような【魔素】の流れはありましたが、詳細は不明です。」


「やっぱり用心した方が良かったかな?」


「どうでしょう。 ペンザエモンさんクラスの達人が来られると対処のしようがないかもしれません。」


「確かに、ペンザエモンさんは確実に僕達よりは強かったね。」


「!? マスター、突然奥から3人の気配が現れました。」


「……あんなスペースの無いところで何が起きてるんだ?」


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