第264話 謝罪とピクニック

 自分はエレナと共に学校へ戻り、カーラ先生と校長の前で謝罪していた。


「本当にすいませんでした。」


「まあ、私の早とちりが原因でもあるからあまり責められねぇけど、あの禍々しい黒い鎧は紛らわしいだろ。」


「まあまあ、カーラくん。 人的被害も無いのだからそれぐらいで良いでしょう。 次からは気をつけるんだよ?」


「はい……。」


 校長は巨人なだけあって見た目は物凄く怖いが、優しい人で素直に謝罪したら許してくれた。


「だだし、あの黒い鎧は戦闘授業なら良いけど、登校するのや街中を移動するのは禁止な。 特に街中で問題を起こしたら今回みたいに甘くないから気を付けろよ?」


「さあ、カーラくんとレイくんは授業に戻って下さい。」






「そう言えば、あの黒い鎧は手加減とか出来るのか?」


 教室に戻る途中にカーラ先生は自分も心配していた事を聞いてくる。


「それが分からないんです。 今日の朝に初めて装備したので……」


「それはやばくねぇか? 私の攻撃を無傷で防ぐ硬さで殴ったら、弱いやつなら大怪我するぞ。」


「確かに殴るだけでもヤバいかも。」


「それにレイは【魔法】も使うからな。 授業に使わせるには他の生徒との公平性が保てねぇか……。」


「あっ、何故かあの鎧を着ると【魔法】が使えなかったんですよね。」


「【魔法】が使えない鎧だと? まさか呪いの鎧じゃないよな?」


「あ~、多分ですけど呪い関係ではないと思います。」


 今考えると、どちらかというといつもの黒歴史的な制約みたいなものだろうと思う。


 【魔導】が使えない代わりに鎧の強度が劇的に上がるみたいな……。


 その辺もセシリアで確認しながら試さないとな。






「おっ、レイ! 無事に帰って来たな。 久しぶりにやらかしたな!」


 教室に戻るとブラットは笑いながら話しかけてきた。


「まさかあんな事になるとは思わなかったよ。」


「それにしても強かったな。 レイも【身体強化】を使いこなせる様になったのか?」


「いや、まだ使えないよ。」


 【魔装】は一応使える様にはなったけど、【身体強化】は使いこなせてない。


 そう言えば【身体強化】の参考になればと思って【魔装】をペンザエモンさんから習ったんだったな……。


「レイ、あれは【身体強化】じゃないのか? 少し戦っただけだがあの黒い鎧内には【魔力】が充満している感じだったし、動きも普段のレイからは無理なスピードだったぞ。」


「そうなのかな?」


 戦闘に関しては間違えはあまりない気がするから、【身体強化】と【魔装】はやはり似たものなのだろうか?


 【魔装】に関してはペンザエモンさんに聞くのが良いとして、問題は【魔装】を使うには【オルタナティブアーマー】を使う必要があり、そうすると【魔導】が使えなくなることだった。





 それから普段通りに授業を受け、昼休みになっていた。


「ブラットはなんで菓子パンばかり食ってるのに、身体はしっかりしてるんだよな。」


 ブラットの筋肉質な身体なら大食いで肉ばかり食べている印象だけど、ブラットはほとんど肉を食べないのだ。

 嫌いという訳ではないが、菓子パンとか野菜パンやとにかくパンが好きなので実家から解放されたブラットはパンばかり食べていた。


「鍛えれば筋肉なんていくらでも付くぜ。 食べ物なんて関係ないだろ?」


「いや、割と食べ物は重要な筈なんだけどな……」


「そんなことを気にしてるからレイは筋肉が付かないんじゃないか?」


「僕が筋肉付かないのは体質なんじゃないかなと思ってるんだけど。」


「レイの両親はすげーパワーあるだろ? ソフィアさんですら俺よりパワーあるぜ?」


「ああ、確かにお父さんは筋肉質だから分かるんだけど、お母さんのパワーは謎なんだよね。 昔に腕を触ったらプニプニしてたし……」


「ソフィアさんの腕を触るなんて怖くてレイかフローラちゃん位しか出来ないよな……。」


「いや、向こうからベタベタしてくるから仕方ないじゃん。」


 未だに実家に帰ると抱きついてきたりするから対応に困ったりするんだよな。


「そうなのか、うちの両親とはえらい違うな……。」


「話変わるけど、朝に話があるってブラット言ってなかった?」


「そう言えば、今度ピクニックに行かないかってニナに誘われたんだった。」


「おお! 行ってくれば良いじゃん!」


 ニナさんも意外とブラットに攻めるな。


「それで今度の休みにみんなで行かないか?」

  

「は? 何で僕達を誘うの?」


 ニナさんはブラットと2人でピクニックに行きたいんじゃないのか?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る