第261話 漆黒宝具 ③
自分は【魔装】により【オルタナティブアーマー】を装備したのだが、身体が非常に軽いことに気が付いた。
「凄い、こんなに身体が思い通りに動くなんて初めてだ。」
「良い感じでござるな。 【魔装】は身体を【魔力】で覆い、理想の身体に作り替える技術でござる。 本当の意味で【魔装】を使いこなすと外見すら別人の様になるでござる。」
「【変身】するみたいな感じなのかな?」
ペンザエモンさんの説明を聞いて、真っ先に思いついたのは【魔法少女】の先輩だった。
あれは【職種】で取得していたスキルだから技術とは違うが効果は似ていると思った。
「そうでござるな。 我が輩もまだまだ【魔装】を使いこなせていないという事でござる。 レイ殿も試しに【オルタナティブアーマー】を脱いで【魔装】を使ってみるでござる。」
自分はペンザエモンさんに言われるがままに、【オルタナティブアーマー】を脱いでから【魔装】を使ってみるのだが……
「あれ? 上手くいかない。」
必要な【魔導】と圧縮密度は足りている筈なのに【魔装】にはならない。
これではただ、【魔導】で【魔導壁】もどきを作っただけになってしまう。
「そう、これが【魔装】の難しいところで、全身の覆う鎧に【魔装】を満たすのはイメージし易いので発動するでござるが、最初は何も無い状態だと発動しないでござる。」
「イメージ力か……。 結構自信があったんだけどな。」
「イメージを明確にして理想のカタチを願うでござる。」
「難しいですね。」
「いや、【オルタナティブアーマー】の補助があったとしても数分で【魔装】を使えるのは驚異的でござる。 では次に【白銀二刀流】の型を【魔装】状態でやって欲しいでござる。」
「マスター、そろそろ学校に行く時間です。」
「ああっ! 忘れてた!」
ペンザエモンさんとの出会いで忘れていたが、今日は普通に学校があるんだった。
「レイ殿は学生だったのでござるな。 遅刻は良くないでござる。」
「あ、あのまたペンザエモンさんに会えますか!?」
「我が輩は当分【スカウトフォート】で護衛任務をしているから何時でも会えるでござる。 この街に魔眼協会の支部があるから、来てくれたらいつでも会えるでござる。 魔眼協会にもトレーニングルームがあるからそちらで訓練を見るのも良いでござる。」
「魔眼協会? そんなのこの街にありましたっけ?」
【スカウトフォート】に来てから立地の件などで街中をぐるぐる廻っていたけど、そんな場所があったかな?
魔眼協会なんてあからさまに興味が出そうな場所があったら忘れないはずだけどな。
「魔眼協会は秘密結社でごさったな………。 このカードに書かれている場所に来てくれれば大丈夫でござる。」
「秘密結社って……」
そんなところに行って大丈夫なのか?
「秘密結社とは言っても、【魔眼】使いの保護と我が輩達、ペンギン族の隠れ蓑でござる。 レイ殿は【魔眼】持ちだから大丈夫でござるが、他の人に話さない方が良いかもしれないでござるな。」
……ペンギン族の隠れ蓑だと?
「もしかして【魔眼協会】はペンギン族いっぱい?」
「いや、ここの支部には我が輩しかいないでござる。 ペンギン族に会いたければ【帝国】か【魔大陸】でござるな。 【帝国】はお薦めしないでござるが、【魔大陸】にはペンギンがいっぱいでござる。」
「分かりました。 いつかは【魔大陸】へ訪問します!」
ペンギン族を保護する【魔眼協会】が悪い秘密結社な筈がないだろう。
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