第254話 エレナとの試合
自分とエレナの試合は、エレナによる指導みたいになっていた。
自分は一度も成功したことの無い雷属性を付与した【身体強化】を試そうとしていた。
【身体強化】は自分が使う身体全体を【魔力】で覆うタイプとブラットが使ってみせた細胞単位での強化の2種類がある。
そして以前に雷属性付与を試して腕の細胞が破壊された時は、腕全体を【魔導】で覆い無理やり腕を高速で降った為に起こったと思う。
ならば細胞単位で【身体強化】を行い、雷属性を付与すれば成功するのではないかと予想していたいた。
考えただけで失敗しそうだな……。
「失敗は成功の元だから頑張るにゃ。」
「そうだな。 やるだけやってみよう。」
まずは細胞単位での【身体強化】をしよう。
とは言ってもイメージが難しいな。
医療の知識がある訳でもないし……。
そう考えながら身体に【魔導】を流してみる。
「レイ、もっと身体の細かい部分まで【魔力】を広げるにゃ。」
「難しいな……。」
「ブラットは1ヶ月位で【身体強化】までは出来たにゃ。」
「くっ、それを言われると負けられないな。 ちなみにコツは?」
「無いにゃ。 ブラットは「ブワッ」とか「シュ」とかで分かったみたいにゃけど、みんな感覚で習得しているにゃ。」
「天才肌かよ……。 エレナは使えるんだよね?」
「もちろん、使えるにゃよ。」
「……。」
自分にはそう言うセンスが無いのは自覚しているから尚更何回も繰り返して覚える努力をしないといけないんだよな。
「あっ、ダメにゃレイ! 【魔力】を込め過ぎににゃ!?」
「えっ?」
急に頭がクラクラして、目の前が真っ白になった……。
「……の様にはいかないにゃね。 だけど、このままだと間に合わないにゃ。」
☆
気が付くと見知らぬ個室に立っていた。
「ここは?」
「ダンジョンで死亡したんですよ。」
「あっ、そうか。」
白衣を着た女性が近くに立っていて、気分が悪ければ少しはベットで寝ても良いと言われた。
ここはダンジョンや特殊な修練場で死んだ時に飛ばされる復活ポイントらしく、隣の部屋は保健室になっているらしい。
人によっては死亡直前の記憶がとんだり、体調が悪くなる人がいるみたいだが、自分は平気みたいだから修練場に戻る事にした。
修練場に戻るとコーデリアとシンシアが心配して近寄ってきてくれた。
「レイ、大丈夫でしたか?」
「レイが、エレナに、負ける、なんて……。」
「負けたというか自爆したみたいな感じかな。 まあ、実力的にも完敗だったけど。」
「そうだったのですか? 試合が開始してすぐに二人を囲う大きな氷の壁が出現したので内部は全然分かりませんでした。」
「そうなの?」
エレナに集中し過ぎて気が付かなかったが、氷の壁って事はエレナが周りと隔離する為に作ったのかな?
「レイとは接戦で何とか勝てたにゃ。」
「あっ、エレナ……」
エレナが笑顔で近付いてきた。
そして、そのまま顔が当たりそうな距離まで来て、小声で……
「私の事はまだ秘密にゃ。」
またエレナの謎が増えるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます