第252話 総当り戦 エレナ

 総当り戦のエレナとセシリアの戦いは、エレナがセシリアの攻撃を全て回避してしまうのを見て、セシリアには棄権させる事にした。


「マスター、すいません。 エレナさんの実力を発揮させる事すら出来ませんでした。」


「いや、あそこまで完璧に回避されたら仕方ないよ。」


 カーラ先生ですら勝てるか分からないレベルかもしれない。


 しかし、セシリアとの戦いで分かったことがあるというか思い出さしたのだが、今まで幼少期からエレナと模擬戦をしていたが、【野生の勘】はこちらが攻撃した後に反応してから回避行動をしており、回避不能な攻撃をすればエレナを倒す事が出来ていた。


 だけど、セシリアとの試合では明らかに先読みして戦っていた……。



「レイ、そろそろ最後の試合を始めるからこっちに来い。」


「あっ、はい。」


 さてと、どうやって戦うかな……。



「レイと戦うのも久しぶりにゃね。」


「そうだね。 まあ、ほとんど僕の負けだけど。」


「レイにはもっと強くなってもらわないとにゃ。 これから……」


「よし、それじゃあレイとエレナの試合を開始しろ。」


「えっ、なんだって?」


 試合開始の合図で最後の方が聞こえなかった。


「私に勝てたら教えてあげるにゃ。」


「くっ、無理ゲーな気がするよ!」


「何でも諦めないところが昔からレイの良いところにゃから、頑張るにゃ。」


 自分とセシリアは戦い方が似ているけど、さっきとは違う戦い方をしないと……。


「射撃や斬撃が回避されるなら!」


 エレナの全面に【魔導壁】を展開して、回避するだけのスペースを無くしてから攻撃すれば当たるはずだ。


「良い案にゃけど、強度が足りないにゃ。」


 エレナが【魔導壁】に手をかざした瞬間に、全面の【魔導壁】が粉々に霧散して消えてしまった。


「なっ!?」


 今、エレナは何をしたんだ?


 手のひらに【魔力】が集まるのは【魔眼】で見えていたが、それ以降に何が起こったのか見えなかったぞ。


 そしてエレナはゆっくりとこちらに歩いてくる。


 エレナが走ればあっという間に距離なのに……


 せめて巨大機動兵器が完成していたら。


 いや、あれこそ【魔導砲】以上に人へ向けてはいけない気がする。


「まだ例の巨大機動兵器は完成していないにゃ?」


「なんでエレナが知ってるの!?」


「それは秘密にゃ。」


 巨大機動兵器はセシリアしかしらない筈なのに、なんで知っているんだ?


 いや、今は試合に集中しないと……。


 ますは地面から【魔導腕】を大量に展開させ、エレナの足止めをする。


 自分を中心として、全面に【魔導腕】を展開することで飛ばない限りは必ず捕まえられる様にする。


 これで出来た時間を使い、エレナに対抗する手段を考えよう。


 基本的にエレナ相手に近接戦闘で勝てるとは思えないから、近づかれたら負けだろう。


 

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