第249話 総当り戦 シンシアとブラット

 総当り戦も残るは相手側がブラットとエレナで、こちらがシンシア、セシリア、自分まで減っていた。


「シンシアと戦うのは久しぶりだな。 ほとんど機会がないから楽しみだぜ。」


「普段なら、勝てない、けど、ここなら、全力を、出せる。」


「俺も全力でいくぜ。」


 シンシアが全力って事は……。



「みんな、ちょっと下がった方が良いかも。 シンシアの全力はヤバイ気がする。」


「レイがヤバイって言うなんて、どんだけ危ないんだ。」


「既に若干暑い……」


「二人共火属性だから暑いのかも。」


 まあ、ほとんどシンシアから漏れ出ている熱のせいだろう。


 シンシアももっと【属性付与】が上手くなれば良いのだけど、【魔力】量が高過ぎて大変そうなんだよな。


 クラスメイトに比べたら【魔力操作】もかなり上手いが、シンシアは【魔力】を制御出来ていない。


「シンシアとブラットの試合を始めろ!」


 シンシアは開始と同時に先程のカオルさんとの試合同様に【炎壁】と炎の柱を同時に展開していた。


 対するブラットは片手に大剣を持って構えてはいるが攻めてくる感じではない。


「まずは……」


 シンシアはブラットに向かって、カオルさんを倒した槍状の【炎弾】を数本撃ち出す。


「これはさっき見たが、レイの攻撃よりは弱いな。」


 ブラットは大剣に火の【属性付与】をしながら、【炎弾】を斬ると何も長ったかのように消えてしまった。


「むむ……。」


「同じ火属性だからな。 これ位は簡単に出来るぜ。」


 ブラットが簡単にやっているが、レギオンメンバーの強さを普通としたら、超難易度の高い事をやっていた。


 シンシアの撃った【炎弾】とほぼ同威力、同スピードでブラットは大剣を振るい、相殺する事で【魔法】を【魔素】に戻してしまったのだ。


 大剣に【魔力】を込めていたというのもあるが、シンシアの撃ち出す【炎弾】はかなりのスピードなのに、瞬時に見切って斬るブラットは戦いの天才なのだなと思う。


「シンシア、もっと凄いのを撃ってこいよ。」


「分かった。 なら……。」


 シンシアは炎の柱を消し、両手に【魔力】を集めていき、【炎弾】をでかくしていると思ったら、炎の塊がどんどんと生き物っぽい形に変化していった。


「おっ、見たこと無い攻撃だな。」


「これなら、相殺は、されない。 【炎の女王】」


【炎の女王】は全長2m位はある人型の炎で、シンシアと線で繋がっており常時【魔力】を供給するタイプのものらしい。


見た目は女王というより魔女って感じで、正面から見たら怖そうだ……。


【炎の女王】はゆっくりとした速度でブラットに襲いかかるのだが、ブラットはそれに対して【炎の女王】を斬りつけるがダメージがほとんど無かった。


「なんだこれは。 斬っても反応が無いぞ!」


「私より、【魔力】量が、上回らないと、【炎の女王】は、倒せない。」


「くっ、シンシアより【魔力】量を上回るって無理だろ!」


ブラットも大剣に【属性付与】をしながら【炎の女王】を斬っているが、空振りしている様に手応えが無さそうだ。


それだけでなく、斬る度にブラットは皮膚を焼かれているみたいで、腕などを火傷していた。



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