第248話 総当り戦 ⑨

 シンシアとカオルの試合が始まろうとしていたが、シンシアは大丈夫だろうか。


「シンシアはレイが思っている以上に前衛職にも強いですよ。」


「そう?」


「レイやブラット達が強過ぎるだけで……」


「そう言われてみたらシンシアはアメリアにも勝てていたか。」


「あとは暴走しなければ問題無いはずですよ。」


「それが1番心配だな……。」


 コーデリアもそうだが、シンシアは自分関連になるとキレやすいなと言うか、本気を出し過ぎて制御出来なくなる傾向があるんだよな。


 しかし、死んでも生き返れる、このダンジョン関係の修練場なら問題は無いから自由に戦わせてみるか。


「カオルとシンシアの試合を始めろ!」


 シンシアの試合が始まった。


「シンシアさん、本気でいくので覚悟して下さいね!」


「私も、最初から、本気。」


 そう言うと、シンシアの周りにはいくつもの火柱が出現し、スピードは遅いがシンシアの周りをグルグル回っていた。


【炎壁】とは別に火柱を作っているから、カウンター用のものだろうか?


 カオルさんの【体術】などを警戒しているんだろうな。


「流石はレイくんのパーティーメンバーですね。 コーデリアさんも凄かったけど、この炎は……。」


「まだまだ、これから。」


 シンシアは右手をカオルさんの方に向けると【炎弾】を展開していく。


「こんな数の別【魔法】を同時に展開するなんて、凄い……。」


 今までのシンシアは同時展開は大体【炎弾】と【炎壁】の2つだけだった。


 戦闘中にあまり移動しないシンシアの場合、【炎壁】の展開は割と難易度が下がるから同時に展開出来たのだが、3つも展開出来るだけの【魔力操作】をシンシアが手に入れたんだろう。


「どんどん、いく。」


 シンシアは炎の柱と【炎壁】を維持しながら、カオルさんに【炎弾】をどんどん撃ち出していく。


「ちょ、速い!?」


 カオルさんは【炎弾】をぎりぎりでかわしているが、シンシアの放つ【炎弾】はスピードをどんどん上がっていく。


 形状も球というより槍に近い形になり、スピードと共に貫通力がありそうだ。


「ちょ、やっ、かわせないっ  きゃ!?」


 ジュッ


 ジュッ


「ぎゃーー!?」


 シンシアの槍状の【炎弾】がカオルさんの肩と腹を焼きながら貫通していた。


 見ただけで痛そうで、カオルさんはあまりの痛さにゴロゴロと転げ回っていた。


 2分位苦しんだあと、カオルさんは動かなくなり消えていった。


「シンシアの勝利!」


【炎弾】で焼かれるのは地味にエゲツない倒し方だな……。



「シンシアもクラスメイトの中ではかなり強いんだな……。」


「そうですね。 クラスメイトの大半が私の【水膜】を突破する事が出来なかったので、特殊スキルなどもあるので分かりませんが強さ的には弱いかもしれないですね。」


「クラス全員の戦力向上しないとダメな気がしてきたな。」


 みんな冒険者になるだろうから、何をするにも強さはあった方が良いだろう。


【チェスガン】襲撃事件みたいな事がまたあるかもしれないからな。


「レイと一緒に修練していたらみんな強くなりそうですね。」


「そうかな?」


「そうですよ。 【チェスガン学園】の同級生達は、卒業時にはかなりの強さでしたからね。」



 確かに低学年時のクラスメイト達に比べたら、今のクラスメイトは弱いかもしれないな……。



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