第247話 総当り戦 ⑧
総当り戦も後半になり、次はアビルくんとカオルさんとの対戦になっていた。
2人の戦いはなかなかの接戦になっていた。
接戦になっているのだが……
「カオルさんってなんで物理攻撃だけなのかな? 手加減しているの?」
【忍者】と言ったら【忍術】だろうって思うけど……。
さっきからカオルさんは両手に着けた篭手を上手く使った【体術】しか使っていない。
そのおかげでアビルくんと良い試合になっているのだが、モヤモヤするな。
「カオルから聞いた話だとレイの言う様なスキルはないみたいですよ。」
「無いんだ……。」
「カオルの得意なのは【遁甲】と【殺法】というスキルを使った撤退、不意打ち、暗殺、関節技らしいです。」
「なるほど、現実的な【忍者】なんだな……」
【魔力】のあるこの世界であえて物理的な【忍者】はイメージからすると微妙だが、ダンジョン探索などには有効なのかもしれないな。
しかし、そうなると
「カオルさんって対人戦には向かないんじゃないの?」
「女子相手なら強いんですけどね。」
「えっ? 男子が苦手とか?」
「まあ、似たような理由ですが、男子に関節技や投げを使うのは恥ずかしくて出来ないみたいです。」
「そうなんだ……。」
確かに年頃の子ならそういうのもあるのか。
そう言われて試合を見てみると、さっきからカオルさんの戦い方は、アビルくんの大振りが出たときだけカウンターを決め、また少し離れるという感じで戦っており、攻撃が浅いのかアビルくんには大したダメージが入っていなかった。
「カオルっ、手加減しないで本気だせよ! 本当はもっと強いだろ!」
「うるさいわね! 私にもいろいろあるのよ!」
「なんだよ、いろいろって。 俺は手加減されるのが嫌いなんだよ。」
アビルくんとの会話で本気を出せていないからか、カオルさんがイライラしてきたのか、戦い方は雑になったが力の入った攻撃をするようになってきていた。
「おっ、さっきより強くなってきたな。 だけど、俺はお前がもっと強いのを知ってるぜ!」
「さっきからうるさいって言ってるのよ!」
カオルさんはアビルくんの背後に回ったかと思ったら、アビルくんを背後から担ぎ上げ、地面に後頭部から叩きつけていた。
ボキッ!
「あっ……。」
アビルくんは後頭部から落ちた衝撃で首の骨が折れたのか分からないが、即死みたいで消えていった。
前世の格闘漫画で見たような投げ技だったが、かなりえげつないな……。
投げられたら受け身もとれないし地面が硬ければそれだけ威力が増すのか……。
「次は、私の番……。」
「シンシアの番か。 大丈夫?」
シンシアは火力のある【魔法】が凄いが、体力面では低学年時からあまり変わっていない筈だからカオルさんの動きに対応出来るのだろうか?
「大丈夫、私も、レイの、足は、引っ張らない。」
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