第246話 総当り戦 ⑦
総当り戦も後半を過ぎ、メイザーさんと【獣使い】のニャルルの戦いになっていた。
ニャルルさんはあまり頭が良い方ではないが、それが逆に良くてメイザーさんに善戦していた。
「にゃゃゃ!!」
「動きが速い!?」
ニャルルさんの行動は単純に変則的な動きと短剣を投げ、さらにメイザーさんが移動したら短剣を拾い、また投げるを繰り返していた。
先程のオルミルクさんとの戦いで発見した、メイザーさんの爆発する防御の弱点は、1度爆発すると防御壁が消える事と乱発出来ないような感じだった。
ならば、短剣を投げて防御を消して更に投げれば、メイザーさんにダメージを与えられる筈だったのだが……
「メイザーさんって身体能力もそこそこあるのは予想外だね。」
「そうですね。 実力的にはアメリアさんと同じ位はありそうです。」
ニャルルさんの投げる短剣はかわせないと思っていたら、ギリギリではあるが回避するので泥仕合化していた。
あとは体力と【魔力】がどれくらい持つかの戦いになっていた。
「にゃにゃ! そろそろ【魔力】が尽きるんじゃないかにゃ?」
「はー、はー。 あなたこそ、そろそろ限界でしょう……」
「私はまたにいけるにゃ!」
「私もまだまだよ!」
2人ともかなり疲れてきたのか、戦いが雑になってきており試合が終わるのも近そうだ。
試合が始まって10分は経っていないが、メイザーさんは連戦で【魔力】が限界みたいで、あと数発も撃てば倒れてしまいそうだ。
多分、意識もハッキリしていないかもしれない。
まあ、自分には【魔力】が尽きるという感覚はほとんど忘れてしまったなぁ。
無限に近い【魔導】があればかなりのチートだと思ったが、この世界ではチート級にはなれないという厳しい世界だ。
このまま最終戦までいけば、久しぶりに自分とエレナとの戦いになるんだよな。
エレナも昔は本気で戦ってくれていたみたいだが、今ではブラット相手でもかなり手加減している。
エレナこそ、チートだよな……。
ボンッ
「にゃ!?」
ちょっと考え事をしている間に、ニャルルさんの脚がほとんど動かなくなる位の疲れてしまったところに、メイザーのさんの空気圧縮爆発が直撃してしまい、ニャルルさんは吹き飛ばされてしまった。
「メイザーの勝利!」
ニャルルさんはゴロゴロ吹き飛ばされ、そのまま消えたので即死だったんだろう。
「カーラ先生、次は棄権します……。」
「ああ、仕方ないな。 ほとんど【魔力】が残っていないみたいだからな。 休んで良いぞ。」
「ありがとうございます。」
「次は、カオルとアビルの戦いだな。」
【傭兵】のアビルくんと【忍者】カオルさんの戦いか。
【神紙】の木製武器と全身黒タイツによる、トレーニングを開始してから1番成長したのはアビルくんなんだよな。
【傭兵】の【職種】は悪く言えば器用貧乏みたいだが、良く言えば万能職であり、基礎能力が向上すればそれだけスムーズに強くなっていた。
「よし、次はやっと俺の番だな!」
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