第244話 勇者(笑)⑤

【アーサー視点になります。】



 俺は勇者として旅を共にするメンバーを選出するのに悩んでいた。


 まずはハーレム四天王である火のバベル、土のグラリス、風のドーツ、水のミューズの4人は確定である。


 この4人は能力的に突出しており、【魔王】の手先は大体この4人で対処出来ていた。


 火のバベル

 能力 炎獄、自爆

 フィールドメテオ


 土のグラリス

 能力 クリエイト

 金属分解、金属結合


 風のドーツ

 能力 風神剣、神風

 エアリアルバースト


 水のミューズ

 能力 擬似空間停止、ヒール

 水流、吸水


 あとは特殊能力を備えた数人を連れて行こうとは思うが、あまり連れて行くと【魔王】からの攻撃に対処出来なくなってしまうのが悩みの種だった。


「アーサー様、至急伝えたい事が……」


「ん? どうした。 また【魔王】が来たのか?」


「いえ。 KOPがいなくなりました。」


「いなくなった? あいつは鎖で縛り付けて封印していただろう。」


「はい。 その筈だったのですが、先程確認したら数名の魅了者と共に消えていました。」


「マジか……。」


 KOP……


【キングオブポンコツ】という能力と引き換えに絶大な能力を得たやつなのだが、名前のとおりポンコツ過ぎて周りに被害ばかり巻き起こす天災みたいなもので、能力の中に【魅了】などもあり、俺の能力である【魔獣魅力】より効果が強く反映されてしまう者も数名いたので一緒に軟禁していたのだが……


「どうしますか?」


「うーん。 放置するか。」


「えっ?」


「いや。 だってアイツは基本的には俺の為に行動している訳だから自由にやらせてみても面白いかなって。」


「ですが……。 今までの行動でどれだけの被害が出たことか。」


「それだよ。 俺や四天王が旅に出たらアイツを殺さずに止められる者はいなくなるからな。 国の外にいた方が良いだろう。」


「なるほど。 確かにその方が良さそうですね。」


 殺すのは簡単なのだが、何故か憎めない奴なんだよな。


 だが、以前はポンコツのせいで国の一部が吹き飛んでしまったので監禁する事にしたんだよな。





 ☆



 俺は四天王と共に話合いをしていた。


「旅にはお前たちの中から2人だけを連れて行こうと思う。」


「そんな! 私達4人を連れて行ってくれるものだと思っていました!」


「いや、俺もそうしようと思ったんだが、よく考えたら国の守りも任せないとダメかなって思ってな。 せっかく作ったのに壊滅されたら嫌だしな。」


「確かに帰る場所が無くなるのは……。」


「2人残す理由は分かった。 あとは誰が付いていくかが問題よ。」


「「それは、私だ!!」」


「……。」


 4人に任せたら話がまとまらなそうだな。


 こういう時にナンバー2がいれば楽なんだけどな……。


 ナンバー2を作ろうとして、人工的に高めの能力を付けてみたらポンコツが出来てしまったんだよな。


 あれ以降は人工的に能力を付けることはせず、自然と強い個体が出来るまで待つという方向にシフトチェンジしたのだ。


「よし、定期的に国に戻る予定だから交代制な、あと2人はくじ引きで決めるぞ。」


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