第242話 総当り戦 ④
総当り戦の6人目は【弓使い】のオリングくんである。
オリングくんは風属性の犬型獣人の男子で、ワイルド系のイケメンである。
戦闘職の獣人族はエレナもそうだが、身体能力が高いタイプが多く、オリングくんも脚などがかなり速いみたいだ。
「初擊でコーデリアの【水膜】を突破したら勝負は分からなくなる、と普通は思うよね。」
「そうですね。 コーデリアさんの強さはその先ですけどね。」
コーデリアの【精霊魔法】は本人の思いを反映して自動防衛、自動攻撃するものであり、さっきまでのクラスメイト達は自動防衛の【水膜】を突破出来なかっただけである。
「よし、コーデリアとオリングの試合を開始しろ!」
開始と同時にオリングくんは矢を数本持ち、コーデリアに向けて撃つのだが、途中で全て叩き落とされる。
「なっ、何かに落とされた?」
「やっぱり、普通の人には【水弾】も見えないのか……。」
「そうみたいですね。 射程距離は短いみたいですが、あのスピードの【水弾】が見えないと……。」
今回はコーデリアも危ないと思ったのか、最初から【水膜】と【水弾】を同時に展開しており、オリングくんの矢に合わせて【水弾】を放っていたのだ。
「それなら、これでどうだっ!」
オリングくんは矢を複数いろんな箇所に撃ち出した。
何かしらの目的はあるのだろうが、アレではコーデリアに当たる矢はほとんど無いだろう。
コーデリアも困惑しながらも当たらないだろう位置の矢は迎撃せずにスルーするみたいだった。
「今だっ!」
あさっての方に飛んでいた矢が一斉にコーデリアへ向けて方向転換を始めた。
「えっ!?」
かなり近い距離から方向転換を始めたからコーデリアの迎撃は間に合わず、アクアの迎撃からも逃れた矢が3本だが、コーデリアの肩や足に刺さる。
「やっと防御を突破したぞ!」
「くっ……。」
やっと攻撃が通ったとオリングくんは喜んでいるが……
コーデリアに刺さっていた矢はすぐに抜かれ、既に回復が始まっていた。
「なっ、もう回復してるのかっ!? ひっ……」
コーデリアが傷付けられた事で【守護聖獣】のアクアがもの凄く怒っていて、見えないながらもオリングくんは得体の知れない圧に恐怖を感じたみたいだった。
「オリング! 今が攻めるタイミングだっ!」
「お、おう!」
オリングくんは、またしても先程の様にあさっての方に矢を大量に放ったのだが、先にアクアが動いていた。
「ぶへっ!?」
姿が見えないアクアはオリングくんに向かって真っ直ぐに飛んでいき、顔面に思いっきり体当たりしていた。
オリングくんはしばらくしたら姿が消えたので、気絶ではなく死亡判定になったみたいで、クラスメイト達は一体何が起きたのか分からない感じだった……。
「「……。」」
自分も【守護聖獣】を甘く見ていたが、オリングくんを死亡させる位の攻撃力があるならば、安全対策を考えないといけないかもしれないな。
コーデリアが傷付けられただけであんなに怒り狂っていたら気軽に模擬戦も出来なくなってしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます