第238話 神紙武具

 今日も授業はレギオンパーティーによる対抗戦をするのだが、前回とは全く違う結果になっていた。


「……。」


「マスター、やりすぎましたね。」


「だけど、これは僕、悪くないよね?」


「そうですね。 カーラ先生の指示通り、メンバーを強くしただけですからね。」


「おい、レイとセシリア。 私もメンバーを鍛えろとは言ったが、あいつらは数日で強くなり過ぎじゃないか?」


 確かに……。


 現在、レギオン対抗戦の相手側で立っているのはエレナとブラットだけだった。


 前回の棒倒しでは、1対1で戦った場合はこちら側が負けていたのに、さっきの戦いではほとんどが勝利していた。


 勝利の理由は黒タイツによる【魔力操作】と木製の武具に【神紙】を張り付けた神紙武具により【属性付与】が上達したからだろう。


「カーラ先生、強くなったきっかけは僕かもしれないけど、みんなが努力したからですよ。」


「努力したのは理解している。 【魔道具】を使わずに【魔力操作】がスムーズになっているからな。」


「だがな、【職種】が覚醒したわけでもないのにレイのレギオンだけ強くなるなんて異常だぞ。 ただでさえ例の事件で急激に強くなった生徒は報告しなくてはいけないのに……」


「ああ……」


 自分やカーラ先生を襲撃した【覚醒薬】を使った連中の関与が疑われるのか。


「もしかしたら、レイ達レギオンは全員呼ばれるかもしれないぞ。 まあ、無実だとは私からも言うけどな。」


「僕達のパーティーは関係なくないですか?」


「いや、コーデリアとシンシアは十分強くなっているだろう。 何かに守られている感じがするぞ。」


「カーラ先生も分かるんですか?」


 やっぱり強者になると見えなくても分かるものなのかな?


「まあな。 それに【魔圧】に対しての反応もいつもと違うからな。」


「なるほど。」

 

「連携はお互い悪くないから、次は死んでも大丈夫な修練場へ移動して1対1の対戦でもやらせてみるか。」




 ☆



その後、クラス全員で修練場へ移動して総当たりの模擬戦をする事になった。


「勝ち抜き戦をするから順番を決めていけ。」



「僕達のレギオンはどうしようか。」


「レイくんかセシリアさんが最後にするとして、戦いに向かない【職種】の、【精霊使い】のコーデリアさんと【治癒師】のタラールくんをどうするかだね。」


「私が1番最初に出ましょうか?」


「なら俺が2番かな……。 戦闘能力が皆無だから、多分負けちゃうけど。」


1番がコーデリアで2番がタラールくんか。


「わ、私も最初の方が良いです!」


「なら俺も戦力には……」


【保温師】のリュミエルさんと【盾使い】のフランクくんも最初の方になりたいみたいだから、3番と4番かな……。


あとは【暗黒兵士】のオルミルクさん、【獣使い】のニャルルさん、【傭兵】のアビルくん、シンシア、セシリア、自分の順番になった。


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