第237話 守護聖獣

 コーデリアとシンシアの【守護聖獣】の名前を自分がつけることになった。


 コーデリアの希望は可愛いやつで、シンシアはカッコいいやつだ。


 ウンディーネとフェニックス……


 うーちゃんとひーちゃん?


 ドカッ!


「いたっ!」


 2体の【守護聖獣】が突然、自分に体当たりしてきた。


「レイ、大丈夫ですかっ?」


「ああ、大丈夫だよ。 ちょっとびっくりしただけだよ。」


 うーちゃんとひーちゃんが良いかなって思ったら突撃してきたな。


 ドカッ! ドカッ!


「いてっ! もしかして考えが読まれてる?」


「レイは何を考えたのですか?」


「いや、2体の名前だよ。」


「もしかして、気に入らない?」


 2体の【守護聖獣】がそうだよ。という様な感じでシンシアの頬にすり寄っていた。


「なるほど。 気に入らなかったか……。」


 何となく分かってきたぞ。


 なら、ウィンとフェー太。


 ドカッ!ドカッ!


 やっぱりダメか……


 安直な名前とふざけた名前は外すか。




 そしたら、アクアとフェニタとかどうだ。


 ドカッ!


 おっ、コーデリアの【守護聖獣】からは体当たりが無かったな。


 フェニックスのカッコいい名前って難しいな。


 火の鳥だから……


 フェニックス、ファイヤーバード……


 フィヤード。


 ドカっ!


「難しいぞ……。」


「カッコいいの、難しい?」


「いや、考えるから待ってて。」


 フィクスはどうだ?



 ……。


「名前が決定したかもしれない。」


「何になったんですか?」


「コーデリアの方がアクア、シンシアの方がフィクスだよ。」


「何か【守護聖獣】も喜んでいるみたいです。 今日からアナタはアクアですよ。」


「気に入った、みたい。 よろしく、フィクス。」


「何とか気に入ってもらえて良かったよ。」



「レイ達はさっきから何してるんだ?」


「コーデリアとシンシアの周りからいつもと違う気配を感じるにゃ。」


「確かに……。 言われると獣っぽい気配が……いてっ」


 アクアとフィクスは獣っぽいというブラットの発言に怒ったのか、体当たりを何回かしていた。


 というか気になったのは。


「エレナとブラットには見えてない?」


「何かがいるのは分かるにゃけど、見えないにゃ。」


「俺も気配だけで見えないな。 何がいるんだ?」


「なるほど、2人は見えないのか。 なら見える条件次第では学校に申請しなくても大丈夫かも?」


「ちなみに私は見えています。」


「セシリアも見えてるって事は……」


 コーデリアとシンシアが見えるのは主人だからだとして、自分やセシリアが見えるのは【守護聖獣】が意志のある【魔素】だからか?


 いや、【聖獣】って位だから自分達以外にはワザと見えない様にしているのかも?


「コーデリアとシンシア。 アクアとフィクスに姿を見せる様に指示出せる?」


「えっ? やってみます。 アクア、姿をみんなに見せられますか?」


「私も、お願い、してみる。 フィクス、お願い……。」


 ……。


「おっ、丸いのが薄っすら見えるな。」


「2人にも見える様になったんだね。」


「透けているから半透明って感じにゃ。」


「あっ、また消えたぞ。」


「姿を見せる様にするのは疲れるみたいですね。」


「そうすると、見えないのが自然体なのか。」



 コーデリアとシンシアには【守護聖獣】という謎生物が常に守ってくれる様になったのだった。



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