第235話 奇跡の卵
【クリスタル】でシバさんと別れたあと、自分はシバさんから何故かもらったプレゼント用にラッピング済みの【奇跡の卵】を2個持っていた。
「まさか【奇跡の卵】を2個も見かけられるとは思いませんでした」
「やっぱり、そんな凄い卵なの?」
シバさんはコーデリアとシンシアにプレゼントすると良いよと言ってくれたのだが、自分は一言も二人に何のプレゼントを上げれば良いか迷っているなんて話していないのに、分かるなんてエスパーかと思ったが、二人との雰囲気を見ていたら【奇跡の卵】がちょうど良いと閃いたらしい。
シバさんは久しぶりに会ったが、不思議な人だな……。
最初は若干、雰囲気が変わったかな?と思ったが、こんな大きな劇場を運営すれば疲れるだろうと勝手に解釈していた。
「そうですね。 図書館の情報では孵化してしまうと主人以外には一切懐かないらしくて価値は無くなるらしいですが、孵化前の【奇跡の卵】は国と反組織が争いを起こす位の価値があるみたいです。」
「そ、そんな価値があるのか……」
シバさんから【奇跡の卵】を2個もただでもらったが、まさかそんなに高価な物だなんて……。
「もしかしたら争いの元になるくらいならと考えてマスターに渡したのかもしれませんね。 ちなみに高価な理由は【奇跡の卵】が入手方法不明な点みたいですね。 何が産まれるかは卵に与える愛情次第で変化するとか……。」
「何が産まれるか分からない卵に愛情って難しそうだな。」
「あと卵に血を与える事で孵化が始まるみたいです。」
「血を与える? なんかの契約みたいだね。」
「それで本当にコーデリアさんとシンシアさんにプレゼントするという事で大丈夫ですか?」
「うん。 ただのペットの卵と言えば大丈夫みたいだからね。」
「そうですね。 【鑑定】でもしない限りは大丈夫でしょうね。」
☆
コーデリアとシンシアに合流したあと、公園に行き演劇の内容などを話し合ってから、二人に【奇跡の卵】をプレゼントする事にした。
「【奇跡の卵】ってものを2人にプレゼントするよ。 とある理由で手に入れてね。」
「なっ、【奇跡の卵】!? 本物ですか?」
「【奇跡の卵】……。 実在、していた、なんて……。」
あれ?
反応が思った以上に驚いているな……。
「コーデリアとシンシアは【奇跡の卵】を知っているの?」
「はい。 エルフ族に伝わる物語に【奇跡の卵】が出てくるものがあるんです。」
「よく、お母さんから、聞かされた……。」
昔話みたいなものか。
「どんな内容なの?」
「詳細ははっきりと覚えていませんが、世界を救うために異界より召喚された英雄の物語で、その中で神さまが英雄の力になるようにと与えた卵が【奇跡の卵】でした。」
「何だかスケールがデカイな。 だけどセシリアが図書館で調べた中にも【奇跡の卵】の詳細があったけど……。」
「エルフ族に伝わる物語は世界を救った英雄の話が多いですから、大半は作り話と言う人もいましたし、もしかしたら【奇跡の卵】も作り話かもしれませんね。」
「なるほど、それで【奇跡の卵】はどうなったの?」
「キリン、亀、鳥……。 名前は忘れましたが5種の聖獣になり英雄の手助けをしたとありました。」
聖獣って麒麟、玄武、朱雀とかの事か?
「まあ、そこまで凄いのが産まれはしないだろうけど……。」
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