第232話 ウリミアの魔眼 ②

 エンジェルアートのメンバーの【結晶化】治療が終わったあと、自分とセシリアはウリミアと一緒に街の外壁内にある林に来ていた。


「2人はついてきて大丈夫だったんですか? もし【病魔】が暴走したら周囲に居る人へ無差別攻撃をしてしまいます。」


「僕は【病気】を防ぐ道具があるし、セシリアは元々病気に耐性があるから大丈夫ですよ。」


 自分は【魔導具】で病気耐性が上がるものを付けているから大丈夫だし、セシリアは【魔導生命体】だから体内には擬似的な人工筋肉や人工内臓があっても病気になる要素はほとんど無いんだよね。


「流石はレイさんですね。 どこまで先を読んでいるのか恐ろしくなるレベルですね。」


「いや、そんな凄くはないからね?」


「謙遜出来る精神も素晴らしいです。」


「あ、ありがとう?」


 なんか、自分への崇拝感が急に妹のフローラと被り出したのだが、大丈夫かな?


「さて、レイさんから借りた【封印具】を使いますが、何かあれば逃げて下さいね。 【病魔】は射程範囲が狭いので、暴走しても助けようとしない限りは大丈夫です。」


「うん。 そういう約束で来たからね。」


 実際に暴走した場合は、セシリアに頼んで【封印具】を外すか、可能なら【治癒】を試してみるつもりだ。


 ウリミアさんは緊張しながらも【封印具】である眼帯を【病魔】の【魔眼】側につける。  




 ……何も変化が無いな。


 ウリミアさんの反応も無い。


【封印具】自体が効果無かったか?  



 と思ったら、ウリミアさんは突然泣き出した……。


「だ、大丈夫?」


「は、はい。 すいません……。 あまりに嬉しくて、つい泣いてしまいました。」


「って事は効果があったのかな?」


「はい! 【病魔】の【魔眼】は完全には封印出来ては無いですが、十分に制御出来るほどに弱まっています。」


「おお、それは良かった。」


「こんな事なら早くレイさんに相談していれば良かったです……。」


「はは、そうだね。」


 多分、【深淵魔術】の件がなければ【封印具】の眼帯を作るって発想にはならなかったから、偶然の産物だとは思うが良しとしよう。


 時間がある時にウリミアさん用にもっと強力な【封印具】を作ってみるかな。


 また【魔眼】が強くなるかもしれないし、その時に自分が近くにいるとは限らないからな。


『マスター、あまり肩入れし過ぎると危険ではないかと忠告します。』


『どうしたの? 突然。』


 突然、セシリアから【魔素通話】にて話しかけてきた。


 ウリミアさんには聞かれたくない話なのだろう。


『ウリミアさんの雰囲気が変わりました。 これ以上マスターの周りに女子が増えるとコーデリアさんとシンシアさんが……。』


 やっぱり、自分の気のせいでは無かったんだな。


 好意を寄せられるのは嬉しいが、これ以上はトラブルの予感しかしないからな。


『了解。 ほどほどにするよ。』


『はい。 ウリミアさんの対応は私が致します。』




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