第231話 ウリミアの魔眼

 エンジェルアートのメンバーを治療する為に来ていたのにウリミアさんから余命1年位しかないと告白されてしまった。


「まず、私の【魔眼】は【天撃】と【病魔】の2つになりますが、私は【天撃】しか使いこなせていません。」


「【病魔】も使用する事は出来るんですよね?」


「はい。 【病魔】というものは見続けた対象をよく分からない病気にするという恐ろしい【魔眼】で私は恐ろしくて今まで魔獣相手に数回しか使った事がありませんでした。」


「まあ、僕もそんな【魔眼】なら気軽には使えないと思います。」


「逆に【天撃】は小さい頃から使い続けたので得意だったのですが……」


 今年になり自分達と同じだがウリミアさんも10歳になったのだが、【病魔】の【魔眼】が強くなったせいで制御に集中しないと暴発してしまいそうになったらしい。


 そのせいで上手く【天撃】を使えなくなったり、頭痛、睡眠不足、体調不良などでどんどん身体が弱ってきているのだという。


 そして、【魔眼】の制御が出来なくなるほど弱ると暴発して【病魔】の効果がウリミアさん本人に跳ね返って来るというのが感覚的に分かるみたいだ。


 自分の【魔眼】である【鑑定】は攻撃したりするものではないから暴発とか無いし、強くなったりもしていないからウリミアさんの言う様に【魔眼】のせいで生命の危機に直面しているのにはビックリした。


 あと1年もあれば何か出来ないだろうか?


「えっと、酷い質問をするかもしれませんが、【病魔】の【魔眼】を潰したりするのは無理なんですか?」


「私の国では【魔眼使い】が【魔眼】を潰されたりすると連鎖的に亡くなるという話もあるみたいでした。 【魔眼】が脳に多大な影響を与えているからかもしれませんが、詳細は分かりません。」


「なるほど、そしたら【魔眼】を封印とか出来ないんですか?」


「封印ですか? 聞いた事はありません。 そういう【魔道具】があるのかすら分かりません。」


 ちょうど【邪眼】を封印する為にいくつか試作した【封印具】がまだ余っているんだよな。


「なら試作で作った眼帯を試してみますか? 一応は【封印具】なんですよ。」


「レイくんはそんなものまで持っているなんて……。 あっ、もしかして【魔眼】に何かあった時の保険に……?」


 なんかウリミアさんは勘違いしているのか、自分が起こるかも分からない可能性の為に【封印具】を用意するほど何事にも保険をかけている子供だと思ったみたいだ。


「いや、たまたま作っただけですよ。」


「そんな謙遜しても私には分かりますよ。 レイくんの先を見る能力が素晴らしい事が!」


「……えぇ。」


 ウリミアさん以外のエンジェルアートのメンバーも、自分とウリミアさんの話を聞きながら目をキラキラさせて自分を見始めている。


 良い方に誤解しているな……。


「それではこのあと、周りに被害の出ない場所で【封印具】を試させてもらいますね。 もし【病魔】の【魔眼】が暴走しても大丈夫な様に……。」



「それが効果あれば良いですけどね。」




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