第230話 パン屋
レギオンを共にしているクラスメイトに【魔力操作】を鍛える為の全身黒タイツを貸していたが、予想外に好評だったので販売もする事になった。
「売るのは良いんだけど、さっきも話した通り微量な【魔力】は着ている間、常に消費しているから枯渇しそうになったら普段着に着替えてね?」
「ああ、それは大丈夫だよ。」
「私も大丈夫よ。」
「なら良いけど……。」
「レイ、お前達が着ている姿は既に街で噂になり始めてるぞ。」
「あっ、ブラット! 噂って?」
ブラットは学校に来る前に買い食いして来たのか、菓子パンをかじりながら話しかけてきた。
「さっき、いきつけのパン屋のお姉さんが教えてくれたぜ。 『また怪しい格好をした生徒が増えたわね。』ってさ。」
「またって……。」
「この学校の教師を筆頭に変わった装備をしているのが多いからな。」
「なるほど……。」
確かにカーラ先生やエターナル先生を見ていたら変な装備の人が多いよな……。
「ってか最近一緒に登校しないのってパン屋に行ってるからなの?」
最近、ブラットは用事が出来たと言って、登校は別々にしていたのだが……。
「ああ、実は学校のすぐ近くに美味い菓子パンを販売しているパン屋を発見したんだよ。」
「……そう言えばブラットは菓子パン好きだったね。 ってか寮で朝ご飯食べたじゃん。」
「菓子パンは別腹だよ。」
「女子みたいな言い分だね。」
「まあ、本当なら1食を菓子パンにしたいんだが、腹持ちはしないからな。 今度一緒に来るか? レイが好きそうな甘いパンもあるぜ。」
「へ〜、なら一度行ってみようかな。 だけど、今度セシリアショップをオープンするからライバル店になるかもね。」
「この街にもオープンさせるのか! そしたらあのパン屋潰れないか心配だな……。」
「パン屋とお菓子屋兼惣菜屋だから客層は……。 微妙かもしれないな。」
ジャンルは違うが、惣菜を販売したら多少は客の奪い合いななるだろうな。
「そろそろ授業を始めるから座れ!」
カーラ先生が教室に来たので話は途中で終わったが、今度ブラットと一緒にパン屋へ行ってみるかな。
☆
放課後になり、自分とセシリアはエンジェルアートのいる教室に来ていた。
今日はエンジェルアートのメンバー二人が【結晶化】してしまうのを防ぐ為にセシリアがマッサージという名目で【魔素圧縮吸収】をする日なので、作業中は自分やエンジェルアートのメンバーが別の部屋で休憩していた。
「最近、メンバー内ではレイくんの用意してくれるお菓子を食べられるのが楽しみになっているのですよ。」
「そう言ってもらえると嬉しいですね。」
「それとふたりの治療をしてくれて感謝しています。 私はこれでいつ死んでも心残りは無いです。」
「えっ? 死ぬって?」
「私はあと1年以内に【魔眼】の開眼により死ぬという事です。」
「【魔眼】の開眼で……?」
どういう事だ?
「ああ、すいません。 私は両眼にある【魔眼】を使いこなす事が出来なかっただけの話で、レイくんみたいに【魔眼】を完全に制御出来ている人は安全です。」
「僕の【魔眼】とウリミアさんの【魔眼】には違いがあるんですか?」
「レイくんには話しておいた方が良いかもしれませんね。」
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