第229話 全身黒タイツ

 自分は徹夜で完成させた【封印具】をクラスメイトの4人に渡すことにした。


「これは強力過ぎるから普段は封印して、ここぞという時以外には使用を禁止するからね。」


「ああ、レイくんがそこまで言うんだからヤバイのは理解出来るよ。」


「うん。 俺も最終手段にするよ。 それに昨日借りた武器を使うと凄く調子良くてね。」


「それは俺も思ったよ。 盾に【属性付与】するのがスムーズに出来て感覚を掴みやすかったよ。」


「私もいい感じだったわ。」


 普通の木製武器に【神紙】を貼り付けて軽くコーティングしただけの実験的なものを貸しただけだが、予想以上に好評みたいだな。


 一応、クラスメイトにポンポン武具をあげるってのは自分内の気持ち的に良くないので貸している事にはなっているが、【神紙】が最初に登録された【魔力】に染まってしまう為、他人の【魔力】を真似出来ない限りはその人の専用武具になってしまう。


 だからもし、卒業まで使っている人がいればプレゼントしても良いと考えていた。


 クラスメイトは知らないが【神紙】に長期間【魔力】を吸わしたらどうなるかという実験にも付き合ってもらっているからな。


「あと、恥ずかしいとは思うけど、ちゃんと黒タイツも着て【魔力操作】の練習もしておいてね?」


「それは大丈夫よ。 昨日の夜も3人にで武器の調子見るついでに【魔力操作】の訓練もしていたわ。」


 ん?


「えっ、3人で全身黒タイツを見せあって訓練してるの?」


「そうよ。 最初は恥ずかしかったけど3人で訓練していたら慣れたわ。」


 10歳の女子達が全身黒タイツ姿に慣れて良いのか?


 自分で中ではアウトなのだが……。


「あ〜、それ分かる。 俺達も黒タイツには慣れたよ。 流石に学校は制服を着ないといけないけど、修練場とかの施設に行くだけなら黒タイツのまま行っても気にならなくなったよ。」


「私達も同じね。 ジロジロ見られたのは最初だけで、次の日からは誰も見もしないわね。」


「もしかして街中をあれで歩いてないよね?」


 全身黒タイツが街中…歩いていたら怪しすぎるぞ、しかも武器を装備して……


「施設に行くには街中を歩くんだから当然そのままで歩くわよ? 着替えるの面倒だしね。」  


「マジか!?」


「そんなに驚く事かしら? カーラ先生の方がよっぽど目立つわよ?」


「ああ、確かにカーラ先生はスタイルが良いのに露出が高過ぎるよな……。 たまに視線に困るぜ。」


「カーラ先生の格好は私達、女子から見ても刺激が強いわよ。 ほとんど裸みたいなものよね。」


 確かにカーラ先生のビキニアーマーは極限まで軽量化されているからほぼ金属製のエロい水着と変わらないと思う。


「カーラ先生のほぼ裸鎧に比べたら全身黒タイツは露出も無いし有りなのか?」


「しかも、あの黒タイツって外でも部屋でも常に熱くも寒くもならないから不思議なのよね。」


「ああ、それは【魔力操作】を光らせる時に微量な【魔力】を消費してるんだけど、それが光の膜になって体温をキープしてくれるからかな。」


「なあレイくん。 あの黒タイツをもう一着欲しいんだけど、無理かな? 高額で無ければ買うぜ。」


「あ〜、私達も買いたいわ!」


「あれを買うの? セシリア、あの黒タイツっていくら位かな?」


「……販売するなら一着1万コルトでしょうか。」


「1万か。」


 思ったより高いな。


 複製すれば簡単には作れるけど、材料費を考えたらそれくらいなのか。


「買うぜ!」


「私も買うわ!」


「えっ、1万でも買うの!?」



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