第225話 深淵魔術
セシリアは前世の自分が考えた黒歴史的な【深淵魔術】をレギオンメンバーに教えようとしているがクラスメイト達はリスクの大きさにビビっていた。
まあ、そうなるだろうな。
自分でも強さと引き換えに禿げていくとか嫌すぎるし……。
「ちなみに、リスクの高い【深淵魔術】は何が出来るんですか?」
確かに何が出来るんだったかな?
「中規模隕石を落とす【メテオフォール】やドラゴンの皮膚すら貫通する【ドラゴバスター】、異界の剣を召喚する【カオスブレード】などですね。」
「す、すげぇ。」
「そんな事が出来るのは英雄クラスじゃないのか?」
「禿げるリスクのやつも30歳過ぎに覚えたらいいんじゃないか?」
「お前頭いいな! 年取ったら諦めがつくもんな!」
「残念ながら【深淵魔術】の取得だけは15歳以下に限られます。 そして、その人にとってリスクが高いほど強力になります。」
「マジか。 【深淵魔術】恐ろしいな……。」
「それでも取得したい方はいますか?」
「ちなみに、才能があれば使えるっていう【暗黒魔闘技】は?」
「それはマスターが使用を禁止されているので残念ですが教えられません。」
「レイくんが使用禁止にするほど危ないのか……。」
「み、みんな、無理して覚えなくて良いからね? リスクがヤバイしさ。」
リスクとはなっているが実際に使えたら、命までは取らないが呪いみたいなものだから危険度で言えば【覚醒薬】みたいなものである。
「わ、私やります!」
「えっ、リュミエルさんやるの!?」
「だ、だって私、さっきも全然役に立たなかったし……。 シンシアさんや、コーデリアさんみたいに役にたてるようになりたいです!」
「いや、シンシアやコーデリアの強さは単純な努力であって、【深淵魔術】関係ないよ?」
「それは分かっています! 今から努力しても成果が出る頃には卒業しそうだし……。」
「俺にも教えてくれ!」
「お、俺も!」
フランクくんやアビルくんまで……。
結局、【深淵魔術】をやりたいと言い出したのはフランクくん、アビルくん、リュミエルさん、ニャルルさんの4人だった。
セシリアはこうなることを予見していたのか禍々しい背表紙の本を既にリストにして作成していた。
あの本は自分の黒歴史そのものと言っても良い……。
準備が良いのも考えかもしれない。
一応、明らかに過剰な力になりそうなものは禁止したが、あとは本人達の意思に任せる事にした。
あとは1人1つだけしか覚えない様にとの条件も付けておいた。
あんなリスクがいくつも重複したら人生詰みそうな気がしたからである。
ちなみにリスクの中には異性と接触出来なくなるとか、睡眠時間が減少、食欲減少など3大欲求すら禁止する恐ろしいものもあった。
前世の自分はなんて恐ろしい事を考えたのだろうか……。
これが後世に【深淵魔術書】と呼ばれる禁忌の本になるとは、この時は誰も知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます