第219話 魔法少女 プリア

 自分とセシリアはカーラ先生に連れられて、【召喚獣】や【魔獣使い】の【魔獣】を管理している部屋に来たのだが、そこには静かに寝ている【魔導ペンギン】10匹と、喧嘩をしている【魔導ペンギン】が2匹いた。


 あの喧嘩しているのがオウカとライタか?


「昨日の夜から急に2匹が喧嘩を始めたらしくてな。 止めに入った別の【召喚獣】が吹き飛ばされる事態になったんだよ。」


「その止めに入った【召喚獣】は大丈夫だったんですか?」


「ん? 【召喚獣】は基本的に死なないから大丈夫だろ?」


「えっ? そうなんですか?」


「なんだ、セシリアが【召喚獣】を使うなら分かっているかと思ったが……」


 カーラ先生の話では、【召喚】とは別空間にある本体の力の一部を仮の身体を与えて行使するスキルで、【召喚獣】は仮初めの身体で動くから死なないらしい。


【召喚獣】の強さは本体の強さと仮初めの身体を用意する術師の技術力で決まるらしい。


「一応は術師にも謝っておけよ? 死なないにしても被害は与えてるんだからな。 あと、次から騒ぎを起こしたら学校で預かれないからな。」


「はい、わかりました。」




 ☆



「セシリア、なんでオウカとライタが喧嘩を始めたのか、原因は分かる?」


「それが、喧嘩というよりもどちらが強いかを競っていただけみたいです。」


「強さを競っていた? なんで?」


「マスターの記憶にある、マスターとブラットさんの模擬戦が楽しそうなのが原因みたいです。 だから火と雷の2匹だけ暴れていたと言っています。」


「そんな理由なのか……。 みんなに暴れない様に教育出来そう? それが出来ないのなら外には出せないからね。」


「全員に徹底させます。」


「12匹のうち1匹でも問題を起こしたら連帯責任で同罪にするからね。」


 どこまで【魔導ペンギン】に理解されるか分からないが、一応は警告しておいてもらおう。


 しかし、【魔導ペンギン】達は【同期】はしているが【召喚師】や【魔獣使い】みたいなスキルで拘束しているわけではないから、しつけの出来ていないペットみたいな状態になっていた。


 セシリアの話では【魔導スライム】だった時みたいに、属性攻撃をする為の媒体にもならなくなったので、完全なペットみたいな感じになってしまった。


「授業が始まる前に被害を加えた【召喚獣】の【魔法少女】に謝りにいこうかな。」


「そうですね。 そのプリアさんは2年生になりますから別のフロアになります。」


「なら早く行かないとね。」


 こうして【魔法少女】であるプリアさんに謝罪する為、会いに行くのだった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る